ピルとバストアップの誤解!胸の張りや合わない対策

監修者:産婦人科医 原野 尚美

最終更新日

ピルとバストアップの誤解

低用量ピルの服用を始めてみたものの、「副作用がつらい」「体に合わない」と悩んで、途中で諦めそうになっていませんか?あるいは、自分の持病や体質のせいで「私は低用量ピルを使えないのではないか」と不安に思っている方もいるかもしれません。

また、インターネットやSNSで「ピルを飲むとバストアップする」という噂を見て興味を持ったけれど、実際に飲み始めたら胸が張って痛い、体がむくんでつらい、と感じて服用を迷っている方も少なくありません。

今回は、低用量ピルとバストアップの本当の関係性や、胸の張り、その他の副作用でピルが自分に合わないと感じたときの具体的な対処法について、読者の皆さんの不安な気持ちに寄り添いながら分かりやすく解説します。決して一人で抱え込まず、ご自身の体調第一で読み進めてみてくださいね。

ピルを飲んで「合わない」と感じる2つの原因

ピルが合わないと感じる原因

ピルを飲んでいて「体調に合わないな」「このまま飲み続けて大丈夫かな」と負担に感じてしまう場合、主な原因は2つのパターンに分けることができます。まずはご自身がどちらの状況に近いか、一緒に確認していきましょう。

原因①:飲み始めの一時的なマイナートラブル

低用量ピルを飲み始めると、体内の女性ホルモンのバランスが一時的に変化します。この変化によって、最初の数日間から数週間の間に、胸の張りや痛み、ムカムカするような吐き気、頭痛、不正出血といったマイナートラブルが起こりやすくなります。

これらの症状は、一般的には体がお薬に慣れることで自然とおさまっていくことが多いものです。しかし、症状の程度や長引く期間には大きな個人差があります。「毎日の生活が送りにくいほど吐き気が強い」「胸が擦れるだけで痛くてつらい」という状態では、せっかく生理痛を和らげたり、生理周期をコントロールして快適に過ごしたりするために服用しているのに、本末転倒になってしまいますよね。このように日々がつらくなってしまうことが、ピルが合わないと感じる大きな原因の一つです。

原因②:体質や持病によって、そもそも低用量ピルが飲めない(禁忌)

生理痛の緩和やPMS(月経前症候群)の改善など、女性の体を優しくサポートしてくれる恩恵がたくさんある低用量ピルですが、実は「女性なら誰でも安全に飲める」というわけではありません。

お薬の成分であるエストロゲン(卵胞ホルモン)には、血液を固まりやすくする作用がわずかにあるため、もともと血栓症(血の塊が血管に詰まってしまう重大な病気)のリスクを抱えている方は、低用量ピルを服用することができません。知らずに服用を続けてしまうと、体に大きな負担をかける危険性があります。

具体的には、以下のような条件に当てはまる方は、低用量ピル以外の選択肢を検討する必要があります。

  • 35歳以上で、1日に15本以上のタバコを吸う喫煙の習慣がある方
  • BMIが30以上の肥満体型にあてはまる方(目安として、身長150センチメートルで体重67キログラム以上の方)
  • 過去に脳卒中、心筋梗塞、乳がん、子宮がんなどにかかったことがある方、または現在治療中の方
  • 健康診断などでコレステロール値や中性脂肪が高いと指摘された方
  • 血圧が高い方(目安として、上の血圧が160、または下の血圧が100を超える方)
  • きらきらした光が見えるなどの前兆を伴う片頭痛の持病がある方
  • 近いうちに大きな手術を受ける予定がある方、または長期間ベッドで寝たきりの状態にある方

最近では、スマホで診察からお薬の処方まで完結する便利なオンライン処方サービスが普及したことで、気軽にピルを始められるようになりました。その反面、医師への持病の申告をうっかり忘れてしまったり、生理を無理にコントロールしたいからと喫煙の事実を伝えないまま服用を始めてしまったりするケースが、2026年現在、少しずつ増えていると言われています。

血栓症のリスクが高い状態での服用は大変危険ですが、ピルが飲めないからといって、つらい生理痛やPMSを我慢し続ける必要はありません。低用量ピルが使えない方でも、女性ホルモンの成分が異なる別のお薬を使って、安全に生理の悩みを解決する方法があります。この記事の後半にある「低用量ピル以外の選択肢」で詳しくご紹介しますので、安心してくださいね。

目次

ピルによるバストの変化の真相!大きくなるって本当?

ピルでバストが大きくなる?

ここで、多くの女性が気になっている「ピルを飲むと本当にバストが大きくなるの?」という疑問について、医学的な仕組みを解説します。結論からお伝えすると、低用量ピルには永久的にバストアップをさせるような美容効果はありません。しかし、飲み始めた多くの方が「胸が大きくなった」「ブラジャーがきつくなった」と実感するのには、ちゃんとした理由があります。

低用量ピルに含まれている「エストロゲン(卵胞ホルモン)」と「プロゲステロン(黄体ホルモン)」という2つの女性ホルモンには、乳腺を発達させたり、体内に水分を溜め込んだりする働きがあります。皆さんも、ピルを飲む前から、生理前になると自然と胸が張ったり、気分が少しイライラしたり、体がむくみやすくなったりした経験がありませんか?まさにあの状態が、ピルを飲むことによって体の中で一時的に起こっているのです。

つまり、ピルによるバストの変化は、脂肪が増えて胸が成長したわけではなく、ホルモンの働きによって乳腺が刺激され、一時的に「胸が張っている状態」や「水分でむくんでいる状態」になっているだけなのです。そのため、お薬を長期間飲み続けて体内のホルモン量が一定に安定してきたり、休薬期間(お薬を休む期間)に入ってホルモンの分泌が減少したりすると、多くの場合は元の胸の大きさに戻っていきます。

この胸の張りは、裏を返せばピルの飲み始めに起こりやすい一般的な副作用(マイナートラブル)の一つでもあります。人によっては「張るだけでなく、ズキズキとした痛みがあって辛い」と感じることもありますので、美容目的やダイエットの補正目的として自己判断で期待しすぎるのは禁物です。大切なご自身の体を守るためにも、まずは正しい知識に基づいてピルと付き合っていきましょう。

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【症状別】ピルの副作用と具体的な対処法

胸の張りや吐き気、頭痛、不正出血といった症状は、ピルを飲み始めてから1か月から3か月目の間にあらわれやすい特徴があります。これは、外から女性ホルモンが補充される生活に、皆さんのデリケートな体が一生懸命慣れようと頑張っているサインでもあります。

まずは、これらの副作用が起きやすい時期の目安と、毎日の生活の中で少しでも気持ちと体をラクにするための具体的な対処法を、症状別にご紹介します。「つらいのは私だけかな」と不安にならず、以下のポイントを参考にしてみてくださいね。

吐き気・胃のムカムカ

吐き気は、低用量ピルの飲み始めに最も多く見られる副作用の一つです。通常は、服用を開始してから数日から数週間以内におさまるケースがほとんどですので、まずは少し様子を見てみましょう。

症状の出方は人それぞれで、「なんとなく胃がムカムカする」という軽いタイプから、お仕事や家事に支障が出てしまうほど強く感じてしまうデリケートな方もいます。もし吐き気がつらくてお薬を飲むのが億劫になってしまうときは、以下のような工夫を試してみてください。

  • お薬を飲むタイミングを「夕食後」や「寝る前」に変更してみる(吐き気が出る時間帯に眠ってしまえば、不快感を和らげることができます)
  • ピルと一緒に、市販の吐き気止めや医師から処方された吐き気止めを併用してしのぐ

マイピルオンラインでも、オンライン診療の際にご希望があれば、ピルと一緒に安心して使える吐き気止めをあらかじめご用意することが可能です。いつでもお気軽にご相談くださいね。

<吐き気の注意点>

もしもピルを飲み始めてから何週間も経つのに全く吐き気がおさまらない場合や、日が経つごとにムカムカが強くなって嘔吐してしまうような場合は、ピル以外の原因(胃腸の疾患やその他の体調不良)が隠れている可能性もあります。無理をせず、早めに受診して医師に相談してください。

むくみ・体重増加の不安

「ピルを飲むと太る」「顔や足がパンパンにむくむのが嫌だ」という心配から、服用を躊躇されている女性はとても多いです。しかし、近年の調査や研究によって、低用量ピルそのものの成分によって脂肪が増えて太るということは、ほとんどないことが分かっています。

アスリートの女性を対象に行われたホルモン剤の調査報告でも、服用開始から3か月以内に約14パーセントの方に一時的な体重の変動(増加)が見られたものの、その後は体が慣れることで、多くの場合、元の体重に戻っていく傾向があるというデータもあります。

ピルに含まれる黄体ホルモンには、食欲を促進させたり、体内に水分を溜め込んだりする作用があります。生理前に無性に甘いものが食べたくなったり、水分を溜め込んで体が重くなったりするのと全く同じ仕組みです。ホルモンバランスが整ってくれば、この一時的なむくみや食欲の乱れも自然と落ち着いていきますので、あまり心配しすぎる必要はありません。毎日の食事をバランスよく摂り、塩分を少し控えめにすることを意識しながら、ゆったりとした気持ちで過ごしてくださいね。

<むくみの注意点>

ただし、むくみのあらわれ方には一つだけ重要な注意点があります。もしも「右のふくらはぎだけが急に赤く腫れて痛む」「片方の足だけが明らかに激しくむくんでいる」というように、左右どちらかの一方だけに異常な症状が出た場合は、血栓症が発症している目印かもしれません。このようなときは、直ちにピルの服用を中止し、できるだけ早くお近くの医療機関(循環器内科や婦人科、救急医療外傷センターなど)を受診してください。その際、必ず「低用量ピルを飲んでいる」ということを医師に伝えてくださいね。

頭痛

体内の女性ホルモンの量が変化することで、脳の血管が一時的に刺激され、軽い頭痛を引き起こすことがあります。これも、お薬を毎日正しい時間に飲み続けることでホルモンの波が小さくなり、しだいに頭痛の回数や強さは落ち着いていくことが一般的です。

つらいときは、ピルとの飲み合わせに問題のない市販の解熱鎮痛薬(ロキソニンやカロナールなど)を服用して様子を見ても大丈夫です。

<頭痛の注意点>

痛みが日に日に悪化していく場合や、何ヶ月も服用を続けているのに激しい頭痛が頻発する場合は、そのままピルを飲み進めて良いかどうかの慎重な判断が必要です。また、前述した通り「閃輝暗点(せんきあんてん)」と呼ばれる、目の前で光がチカチカ・ギザギザと光って視界が見えにくくなるような前兆がある片頭痛をお持ちの方は、ピルを飲むことで脳卒中などのリスクを高めてしまうため服用ができません。頭痛のタイプが気になる方は、必ず婦人科の専門医に直接診察してもらうようにしましょう。

不正出血

低用量ピルを飲み始めたばかりの時期(特に1〜3か月目頃)は、これまでご自身の卵巣から分泌されていたホルモンの代わりに、お薬から一定のホルモンが補給されるようになるため、子宮の内膜が一時的に不安定になりやすい状態です。そのため、生理以外の時期に少量の血が下着についてしまう「不正出血」が比較的高い頻度で起こります。

血の量としては、ティッシュにうっすら付く程度や、生理の終わりかけのような茶色いおりものが出るといったケースが多く、体がホルモンバランスの一定な状態に慣れてくれば、多くは自然とピタッとおさまります。不快に感じたり不安になったりするとは思いますが、飲み始めの数か月間はよくあることですので、まずは毎日同じ時間に正しく飲みながら様子を見てみましょう。

<不正出血の注意点>

ピルを飲む前からずっと不正出血が続いていた方や、これまで何ヶ月も問題なくピルを飲めていたのに急に出血が始まったという方の場合は、子宮頸がんや子宮体がん、子宮筋腫、あるいは膣内の感染症など、別の婦人科疾患が関係している可能性があります。お薬の副作用と決めつけず、一度しっかりと産婦人科を受診して検査を受けることが大切です。

低用量ピルの種類(世代)を変えると解決することも

低用量ピルは、お薬に配合されている「黄体ホルモン」の種類や開発された歴史的な流れによって、第1世代から第4世代までの種類(世代)に分類されています。どの世代を選んでも、正しい避妊効果や生理痛を和らげる主たる効果に大きな優劣はありませんが、実はそれぞれ「肌への影響(副効用)」や「不正出血の起きにくさ」といった細かい特徴が異なり、人によって合う・合わないの相性があります。

もし、今飲んでいる低用量ピルが「3か月以上続けても体調に合わない」と感じるときは、医師と相談してお薬の世代を変更(マイナーチェンジ)してみるだけで、嘘のように副作用が軽くなるケースがあります。

現在、マイピルオンラインでも様々な世代の低用量ピルをお取り扱いしています。提携クリニックの経験豊富な産婦人科の医師が、女性の皆さんの「PMSをラクにしたい」「自分に合った種類を見つけたい」といった一人ひとりのご要望や体質に合わせて、正しいお薬選びを丁寧にサポートします。

お薬の変更をご希望の際も、スマホからいつでもお気軽にご相談くださいね。(※医師の診察結果によっては、ご希望と異なるお薬が推奨される場合や、処方が行われない場合もあります)

低用量ピルが合わない・飲めない方への別の選択肢(対面診療)

副作用がどうしてもつらくて低用量ピルを続けられない方や、血栓症のリスク・持病のせいで「そもそも低用量ピルを避けるべき」と言われてしまった方には、以下のような体に優しい代替の選択肢が用意されています。

これらの治療法は、基本的に自費診療のオンライン処方サービスでは取り扱いがないことが多いため、ご希望の方はお近くの対面診療を行っている婦人科や産婦人科を受診して、医師に直接ご相談ください。

超低用量ピル(保険適用)

超低用量ピルとは、含まれているエストロゲン(卵胞ホルモン)の量が、低用量ピル(0.03ミリグラム以上)よりもさらに少ない、0.02ミリグラム以下に抑えられている最新のお薬のことです。主に月経困難症や子宮内膜症といった病気の治療を目的として使われており、婦人科の診察(対面)によって病名が確定すれば、健康保険が適用される保険診療として処方を受けることができます。

お薬に含まれるホルモンの絶対量が非常に少ないため、低用量ピルを飲んだときのような激しい吐き気、頭痛、食欲不振、むくみといった副作用が非常に出にくいという素晴らしいメリットがあります。

ただし注意点として、日本国内では避妊効果に関する大規模な試験が行われていないため、純粋な「避妊目的」としては使用することができません。また、ホルモン量が少ないために、飲み始めの時期に「不正出血」がやや起こりやすい傾向にあります。

ジエノゲスト(黄体ホルモン製剤)

血栓症を引き起こす直接的な原因となるのは、エストロゲンというホルモンです。そのため、エストロゲンを一切含まない、もう一つの女性ホルモン(黄体ホルモン)だけで作られた「ジエノゲスト(ディナゲスト)」というタイプのお薬であれば、35歳以上で喫煙している方や血圧が高い方、肥満の方でも、比較的安全に服用を続けることができます。

こちらも子宮内膜症などの治療として保険適用になるお薬で、毎日正しく服用していると、やがて生理の出血そのものが全く来なくなります。毎月の生理痛やPMSの激しい症状から解放されるため、閉経を迎えるまで長期間安全に継続することも可能です。

注意点としては、通常のピルとは異なり「1日に2回(朝・晩など)」の服用が必要な点です。

ミレーナ(子宮内黄体ホルモン放出システム)

「毎日決まった時間にお薬を飲むのがどうしても苦手」「シフト制の夜勤仕事をしていて睡眠リズムが不規則だから、飲み忘れが不安」という方には、子宮の内部に「ミレーナ(過多月経・月経困難症治療用の、黄体ホルモンを放出する小さな器具)」を挿入するという選択肢も大変おすすめです。

一度婦人科のクリニックで子宮内に装着してもらえば、器具から黄体ホルモンが少しずつ持続的に放出され、最長で5年間にわたって高い治療効果と避妊効果を維持してくれます。お薬を毎日飲む手間から完全に解放されるため、現代の忙しい働く女性にとって非常に利便性の高い画期的な方法です。

まとめ

低用量ピルを飲んでみよう、生理の悩みを解決したい、と考えた皆さんは、これまで毎月の激しい生理痛やつらいPMS、あるいは安定しない周期の乱れに悩まされ、心も体も本当に一生懸命頑張ってきたのだと思います。

ピルを始めてみて「私には合わないかもしれない」「胸が張って痛くて怖い」と感じたとき、すぐに1人で悩んで服用を完全に諦めてしまうのは、とても勿体ないことです。今回ご紹介したように、お薬の飲む時間を寝る前に変更してみたり、お薬の世代を少し変えてみたりするだけで、驚くほど体調がラクになることはたくさんあります。また、どうしても低用量ピルが使えない体質の方であっても、超低用量ピルやミレーナなど、別の優しいアプローチで毎月の苦痛をなくす方法が必ず見つかります。

マイピルオンラインは、ピルを正しく利用するすべての女性の皆さんが、不安なく毎日の笑顔を取り戻せるよう、いつでも心から寄り添い、サポートし続けます。何かいつもと違う体調の変化や、気になる疑問があれば、どうぞ一人で我慢せず、いつでも医師やスタッフへお気軽にご相談くださいね。皆さんの明日が、もっと軽やかで心地よいものになりますように。

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参考文献

  1. 緊急避妊法の適正使⽤に関する指針 (令和 7 年改訂版)
  2. 公益社団法人 日本産科婦人科学会 - 低用量ピル・ホルモン補充療法に関するガイドライン
  3. 厚生労働省 - 経口避妊薬の適正使用と安全性の確保について
  4. 国立国際医療研究センター - 女性のホルモンバランスと体調管理の基礎知識

産婦人科専門医 原野尚美

監修者
産婦人科専門医原野 尚美

いかがでしたでしょうか? マイピルでは産婦人科の医師が、 ピルに関するどんな小さな疑問や不安でも、 直接お電話でお答えいたします。

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