生理がなかなか終わらない!?出血が長引く過長月経とは
生理移動ピルの使用法と注意点~生理を早く来させるには?~
監修者:産婦人科医 原野尚美
最終更新日
「この日だけは生理がきてほしくない」「どうしても生理をずらしたい」そんな風に悩んだ経験のある方は多いのではないでしょうか。
生理不順の方もそうでない方も、「絶対にこの日は生理にならない」とは言い切れないものです。大事な日を万全の体調で迎えたい、そんな場合には、生理移動ピルを服用してみませんか?
ここでは、生理移動ピルのメカニズムや使い方を紹介するとともに、よくある疑問・不安にお答えしていきます。
目次
- 1.生理移動ピルってどんなもの?
- 2.生理移動ピルの服用方法
- 3.生理移動ピル服用中の副作用やトラブルについて
- 4.生理移動ピルQ&A
- 5.まとめ
生理移動ピルってどんなもの?
まずは、生理移動ピルの仕組みや、ほかのピルとの違いについてご紹介します。
生理移動ピルのメカニズム
生理移動ピルは、「中用量ピル」と呼ばれる種類のピルです。
低用量ピルと同様に「卵胞ホルモン」と「黄体ホルモン」が含まれ、排卵を抑える作用・子宮内膜の増殖を抑える作用があります。
2つの女性ホルモンの分泌量は、いつも一定というわけではありません。お互いに分泌量をコントロールし合いながら、規則正しい波のようになっています。
生理の期間は、どちらのホルモンの分泌量も少ない状態です。生理が終わってから排卵期までの間(卵胞期)には、まず卵胞ホルモンの分泌量が増えていきます。続いて、「黄体形成ホルモン」という、排卵を起こしたり、黄体ホルモンの分泌を起こしたりするホルモンの分泌量がぐっと高まります。この黄体形成ホルモン分泌量のピークのことを「LHサージ」と呼び、LHサージの約36時間後に排卵がおこる仕組みです。
排卵のあと、徐々に卵胞ホルモンの分泌量は減り、黄体ホルモンの分泌量が増えはじめます。黄体ホルモンの分泌量が多い期間は「黄体期」とも呼ばれる生理前の時期です。基礎体温が上がり、子宮内膜が厚く変化します。
その後、黄体ホルモンの分泌量が減ってくると、子宮内膜が不安定になり、生理が起こるようになっています。
生理移動ピルは、服用することで生理前の「黄体期」を人工的に作り出す薬です。生理移動ピルには、黄体ホルモンが多く、卵胞ホルモンは少なめに配合されており、服用している間は黄体期に近いホルモンバランスを保ってくれます。黄体ホルモンを補充し続けることで子宮内膜が安定し剥がれないため、服用している間は生理が起こりません。
また、黄体形成ホルモンの分泌を介さずに黄体ホルモンの補充を直接おこなうので、排卵を止める・あるいは遅らせることができます。
生理はコンディションに影響大!
生理中は、何かと不便・不調が生じやすいです。内閣府の調査によると、生理にまつわる不調を感じる方は、20代で80%、30代で70%以上もいることがわかっています。
<生理中の不調の例>
- 生理痛がつらい
- 経血漏れが不安で落ち着かない
- 生理用品で肌がかぶれる
- 貧血で力が出ない、だるい
- 気分が落ち込む、イライラする
こういった不調を我慢していたせいで、大切な日に思いっきり楽しめなかったり、力を発揮できなかったりといった経験が、皆さんにもあるかもしれませんね。
生理移動ピルはどんなときに使う?
生理を気にすることなく過ごしたい大切なイベントの日には、生理移動ピルを服用し、生理がぶつからないようにしてみませんか?
<生理になりたくないイベントの例>
- 修学旅行
- 大事な試合や受験
- 結婚式
- 温泉旅行や海に行く
このように、生理になりたくないイベントのある日は人生で何度かあると思います。
生理移動ピルを服用するにあたって、目的に制限はありません。ご自身が「この日は生理になりたくない」と思うところなら服用できます。
低用量ピルとの違い
毎日服用して生理周期を一定にする「低用量ピル」との大きな違いは、配合されるホルモン量です。
ピルはもともと、今よりもずっとホルモン量が多く、胃腸の症状や血栓症といった副作用の問題がありました。それから、副作用を減らしつつ効果も保つために試行錯誤が重ねられ、中用量ピル、低用量ピルができました。
低用量ピルは、生理移動ピル(中用量ピル)よりも女性ホルモンの含有量が少ないので、副作用もマイルドです。
低用量ピルは、月経前症候群(PMS)を和らげたり、ニキビを改善したりといった効果もあります。生理周期が安定していない方は生理日の予測が難しいので、生理移動ピルよりも低用量ピルを使った方がよいかもしれません。また、生理日の症状だけでなく、PMSの症状やニキビなどにもお困りであれば、低用量ピルがおすすめです。
毎日服用するのは忘れてしまう、PMSなど生理にまつわる悩みがほとんどない、生理をずらしたいタイミングがごく稀という方は、必要なときだけ生理移動ピルを服用する方法がよいでしょう。
低用量ピルを使って生理日をずらす方法もありますので、ご自身のライフスタイルにどちらが合っているかは医師に相談してください。
緊急避妊薬との違い
緊急避妊薬(アフターピル)として使われるピルは、生理移動ピルと同じものを使うこともありますが、使用方法が異なります。
マイピルで取り扱っている生理移動ピルは「プラノバール」という種類です。プラノバールを使って生理を移動させる場合は、1日に1回服用します。緊急避妊薬として服用する場合は、12時間ごとに2回服用する必要があります。
緊急避妊薬は、ほかにも「ノルレボ(成分名:レボノルゲストレル)」と「エラ」の取り扱いがあります。こちらの2種類は、1回だけの服用です。性交渉からどれだけ時間が経っているか、また、費用との兼ね合いなどを総合的に判断し、服用する種類を選択しています。生理の移動には使いません。
生理移動ピルの服用方法
生理移動ピル「プラノバール」の具体的な服用方法をご紹介します。
生理を早める場合
生理を予定よりも早める場合には、直前の生理の3〜5日目からプラノバールの服用を始めます。服用日数は、いつ生理を起こすかによって変わりますが、おおよそ10〜14日間程度が多いです。
服用を止めると2〜3日で生理が始まりますので、生理を避けたい日よりも前に生理が終わるように調整します。
<生理を早めるメリット>
- イベントの日には生理移動ピルを飲まないので、当日に副作用の心配がない
<生理を早めるデメリット>
- 服用中、少量の出血が続く場合がある
- 早めた生理がなかなか終わらず、イベント日にかぶってしまう可能性がある
生理を遅らせる場合
生理を予定よりも遅らせる場合には、生理開始予定日の3〜5日ほど前からプラノバールの服用を始めます。生理を避けたいイベントの日まで服用し、イベントの翌日からは生理移動ピルの服用をやめてください。
<生理を遅らせるメリット>
- 不正出血が起こる可能性は低い
<生理を遅らせるデメリット>
- 服用中に副作用が起こると、イベントの日につらいかもしれない
生理移動ピル服用中の副作用やトラブルについて
生理移動ピルの服用に伴う副作用や、よくある困りごとについて、その対処法をご紹介します。
吐き気や頭痛の副作用
生理移動ピルは、低用量ピルよりもホルモン含有量が多いため、吐き気や頭痛、胸の張りといった副作用を感じるリスクがやや高いです。
そのため、「大切な日に副作用が起きてしまい、かえって辛かった」ということになる可能性も否定はできません。副作用が起きても問題ない日程を選んで、事前に1度、服用してみるというのも1つの方法です。
たとえば、大学受験では試験日がいくつかありますね。試験当日に生理がこないように調整しようと思うと、試験と試験の間に生理を起こすことになります。試験の合間とはいえ、「副作用の吐き気や頭痛で勉強ができない!」なんてことになれば、不安になってしまうでしょう。予行演習をしておくと安心して本番に挑めます。
生理を避けたい大切なイベントの3,4か月前にご相談いただければ、1度生理移動ピルを服用してみて、体調が問題なく過ごせるかどうか確かめておくことが可能です。もし副作用で生理移動ピルが使えない場合でも、もう少し副作用がマイルドな低用量ピルを試す時間の余裕があります。
吐き気については、吐き気止めを使う、寝る前に服用することで吐き気の出る時間には寝てしまうなどの対処法をとることで、気にならなくなることが多いです。
マイピルでは吐き気止めも用意していますので、吐き気が心配な方はご相談ください。
体重増加、むくみの副作用
生理移動ピルを飲んでいる間、体重コントロールが難しくなったり、むくみが出たりする可能性があります。服用している間だけの一時的なものなので、ほとんどの方は、むくみの副作用は支障が出ることなく過ごせるでしょう。
ですが、体重コントロールが必要なアスリートの方などは困ってしまうかもしれません。体重コントロールが必要な方は、低用量ピルの方がよいこともあります。低用量ピルも体重増加が生じる可能性はありますが、数か月服用を続けると体重が元に戻ることが多いです。
体重コントロールが少し不安定になっても問題ない時期に、ピルの調整を始めることをおすすめします。
飲み忘れたときの対処法
生理移動ピルは1日に1回、規則正しく服用していただく薬ですが、飲み忘れてしまうこともあるでしょう。
飲み忘れてしまったときは、以下のように対応してください。
- 気がついたときに1回分を服用します。
- 次の服用タイミングが近いときには1回分を飛ばし、次のタイミングから規則正しく服用してください。
生理移動ピルは、低用量ピルよりも配合されている女性ホルモンの量が多いため、1回飲み忘れただけで生理が起こることは少ないですが、なるべく飲み忘れることのないよう、アラームをかけるなど工夫しましょう。
血栓症の副作用
生理移動ピルは、低用量ピルと同様に「血栓症」の副作用があります。
血の塊が血管に詰まるというものです。頻度としては1万人に1人程度で、ごくわずかなので過剰に心配する必要はありません。
ただし、生理移動ピルを内服しながら海外旅行などの長時間のフライト予定がある場合や、長時間のドライブ予定がある方は血栓症リスクが一時的に上がりますので、弾性ストッキングを履く、水分を多めに取るなどして、血栓症の予防をしたほうがよりリスクが下がりますので、覚えておきましょう。
もし、以下のような症状があれば医療機関を受診し、「生理移動用のピルを使用している」と伝えてください。
生理移動ピルQ&A
生理移動ピルを服用するにあたって、よくある疑問にお答えします。
生理移動ピル服用中は避妊効果がありますか?
必ずしも避妊効果が得られるわけではありません。
生理移動ピルを服用する期間によっては、すでに排卵が起きているためです。避妊の効果はないものと考え、コンドームの着用など、別の避妊方法を併用していただくのが安全です。
日頃から服用している低用量ピルを用いて生理期間を移動させている場合には、正しく服用を続けていれば避妊効果が得られます。
子どもがピルを服用しても問題ないのですか?
ピルには大人用・子ども用といった違いはありません。未成年であっても、大人と同じ量のピルを服用することになります。
未成年のお子さまにピルを服用させることに不安を感じられる保護者の方も少なくありません。ですが、生理が始まっているお子さまであれば、ピルを服用しても問題ないと世界保健機構(WHO)などが定めています。
ただし、低用量ピルを継続して服用する場合は注意が必要です。生理移動ピルは一時的な服用なのでほとんど心配ありませんが、卵胞ホルモンによって骨端線が閉じる(身長の伸びが止まる)可能性があるため、身長が伸びなくなってからがよいとおすすめされることがあります。
薬で生理を動かして、体に悪影響はないですか?
「薬で生理を起こすなんて不自然なこと、体に悪そう」と感じられる方もおられます。
基本的に、自然にくる生理も、ピルによる生理も、同じものです。ピルを服用しても、女性ホルモンの働きによって子宮内膜が厚くなって剥がれる、という一連のサイクルは、自然な生理と同じように生じています。体にとっては、どちらの生理にも違いはありません。
生理を移動させたあとは、いつもと同じくらいの生理周期で自然に生理が始まります。
まとめ
今回は、生理移動ピルで生理を動かすことができるメカニズムや服用方法についてご紹介するとともに、よくある疑問にお答えしました。
生理移動ピルは、一時的な服用で生理を早めたり、遅らせたりすることができる薬です。生理を避けたいイベント日が決まったら、1か月ほど前にはご相談ください。吐き気や頭痛、胸の張りといった副作用が起こるかもしれませんので、大事なイベントの場合は事前に1度予行演習をしておくのもおすすめです。
生理不順の方の場合は、生理予定日の3-5日前に飲むという生理日を遅らせる方法を取ることが難しい場合がありますので、生理日を早めたほうが確実です。確実に生理移動をさせるためにも、生理移動予定の1ヶ月以上前にご相談ください。
低用量ピルを使って生理移動をした方がよい場合もあります。生理移動を考えている方は、お気軽にご相談ください。
監修者
産婦人科専門医原野 尚美
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