生理がなかなか終わらない!?出血が長引く過長月経とは
イライラする!涙が出る!生理前に情緒不安定になる理由と対策
監修者:産婦人科医 原野尚美
最終更新日
「生理前に涙が止まらなくなる」「イライラして抑えられない」そんな風に、生理前のメンタル不調でお悩みの方はいませんか?
生理に関連して精神的に不安定になることは「月経前気分不快障害(PMDD)」と呼ばれ、生理のある女性の約5%(20人に1人)が経験しています。決して少なくない女性の皆さんが、生理前のメンタル不調を感じているのです。
ここでは、PMDDがなぜ起きるのか、どのような対処法があるのかについて解説します。
目次
- 1.PMDDとは?
- 2.PMDDに有効な対処法
- 3.まとめ
PMDDとは?
PMDDは、生理に伴って感情の変動が強く生じて、日常生活につらさを感じる状態を指します。なぜPMDDが生じてしまうのでしょうか?
PMDDが生じるメカニズム
PMDDは、女性ホルモン分泌量の波が大きな原因の1つです。女性ホルモンの変化に敏感に反応することで、精神的な不調が強く出てしまうと考えられています。
女性ホルモンのうち、とくにエストロゲンは、PMDDに関連があり、情緒を安定させる作用のホルモンです。
エストロゲンがからだに作用すると、幸せホルモンとも呼ばれる「セロトニン」が体内でたくさん分泌されるようになります。
セロトニンの代表的な役割をみてみましょう。
- 幸福感が増す
嬉しい、楽しいといったポジティブな感情を増やす作用があります。また、緊張の原因になる「ノルアドレナリン」と、やる気をつかさどる「ドパミン」とのバランスをとるような役割も担っており、セロトニンが十分にあることで情緒が安定します。
- リラックスできる
セロトニンは、脳の興奮をおさえて心身をリラックスさせる効果があります。
- 睡眠の質を上げる
セロトニンは、夜になると「メラトニン」へ変換されます。メラトニンは、体内時計を調整するホルモンで、体を睡眠モードへ導くことで良質な睡眠を作り出します。
こちらの図でもわかるように、排卵の直前でエストロゲンの分泌量がぐっと減ります。エストロゲンが急激に減ったことでセロトニンの分泌量も減りますが、この変化に過敏に反応してしまうと、生理までの期間には精神的な不調が強く出やすいというわけです。
PMSとの違いは?
PMDDは、PMSのなかの1つの分類です。
生理に伴う心身の不調を指す「PMS」のうち、とくにこころの症状が強く、日常生活を送ることができないほどつらいという場合には、PMDDとしてさらに区別しています。
PMDDの症状
PMDDでは、以下のような精神的な症状が強く目立ちます。そのほかに、PMSと同様、体の症状も出てくることがあります。PMSの症状についてはこちらをご覧ください。
<PMDDの症状>
- 自分で抑えきれないような激しいイライラ、不安、怒りの気持ちがある
- 涙が止まらない
- 必要以上に攻撃的な言い方をしてしまう
- 引きこもりがちになる
- 判断力、集中力が低下する
- 不眠、過眠など睡眠の変化がある
- 食欲が抑えられない
- 死にたいと感じる
学校や職場ではなんとか耐えていても、生理前だけは親やパートナーにキツイ言葉で当たってしまう、という方もいます。「学校では我慢できているからPMDDではない」「ただの反抗期・甘え」というわけではありません。「PMDDというものがある」ことを、親やパートナーにも知ってもらうことが大切です。
PMDDかもと思ったら
生理前の気持ちの落ち込みが強く、自分ではどうにもできない…そんな風にお困りであれば、1人で悩まずにサポートを受けてください。
婦人科だけでなく、必要に応じて精神科・心療内科なども受診し、気持ちがやわらぐよう適切な治療を受ける必要があります。
PMDDは、米国精神医学会による基準では「抑うつ障害」の1つと定められており、れっきとしたこころの病気と認識することが大切です。「気の持ちよう」や「がまん」で変わるものではありません。
「生理は女性全員にあることなのに、耐えられないのは恥ずかしい」「自分が弱いせいだ」のように、ご自身を責めてしまうかもしれませんが、全く必要のないことです。どなたでも、PMDDを生じる可能性はあります。専門家のサポートを受けましょう。
PMDDに有効な対処法
PMDDの改善のために、いくつか有効とされる方法がわかってきています。
抗うつ薬など症状に対応する治療
気分の落ち込み、不安、イライラといった症状に対して、それを和らげるような薬を使います。
とくにPMDDへの効果が高いとされているのが、「SSRI」という種類の薬です。PMDDの方に、まず第一に試すことが多い薬になっています。脳内のセロトニン濃度を高めるように働くため、感情の変動を安定させるサポートになります。PMDDの生じる期間(生理2週間前〜生理開始ごろまで)だけの服用が一般的です。
そのほか、抗うつ薬や抗不安薬なども使うことがあります。
ピルの服用
低用量ピルを服用し、女性ホルモンの変動をおさえることが有効かもしれません。
PMDDは、女性ホルモンの分泌量の増減に体が対応しきれず、過敏に反応してしまうことが原因です。低用量ピルを服用し、常に一定の女性ホルモンが補充されるようになれば、感情の変動も安定する可能性が高いといえます。
SSRIが無効だった方、希望しなかった方は低用量ピルを選択することが多いです。
漢方薬
PMSやPMDDに対して効果の期待できる漢方薬がいくつかあります。効果が出るまで時間のかかることも多いですが、試してみてもよいでしょう。
東洋医学では、「気」「血」「水」のバランスが乱れると体調不良を生じると考えます。漢方薬は、それぞれのバランスを調整し、体をよい状態へ導くような薬です。
PMDDやPMSの方は、「気」や「血」の巡りが悪い、あるいは「水」が必要以上に体に溜まった状態であるといえます。ご自身の体質や状態に合わせた漢方薬を使用することで、半数以上の方が効果を実感できたという報告もありますので、興味のある方は婦人科でご相談ください。
生活リズムをととのえる
生活リズムをととのえましょう。規則正しく生活し、睡眠時間もしっかり確保します。
また、朝に日光を浴びるというのが大切です。
朝に日光を浴びると、体の中でセロトニンの分泌が起こります。朝にカーテンをあけたり、通勤通学の際に外を歩いたりして、15分ほど日光にあたる時間をとりましょう。休日は、少しゆっくりと散歩をするのもよいですね。目から日光を取り入れることが重要なので、体には日焼け止めを塗っていても大丈夫です。
PMDDの時期だけでなく、定期的におこなうことをおすすめします。
適度な運動
適度に体を動かすことで、セロトニンの分泌を促すことができます。
1日に30分程度、少し汗ばむくらいの運動を取り入れてみましょう。ウォーキングやサイクリング、スイミング、ヨガなどの有酸素運動がおすすめです。毎日が難しければ、週に1回、2回からでも取り組んでみてください。
食事・栄養面
セロトニンの材料として、トリプトファンの含まれる食材をとってみましょう。
- 乳製品(チーズやヨーグルトなど)
- 大豆製品(豆乳、納豆、豆腐など)
- レバー
- ナッツ類
さらに、栄養素としてはカルシウム(1日最大1,000mg)、ビタミンB6(1日最大50mg)、ビタミンD(1日最大10μg)の摂取が、PMDDを緩和させる可能性があるものとして挙げられます。サプリメントを試してみてもよいかもしれません。
また、PMDDの症状が出る少し前の時期から、摂取を控えるとよい食べ物もあります。
辛いもの、アルコール、カフェイン、糖質、脂質は、控えることでPMDDの症状がやわらぐ傾向にあるようです。いろいろと試してみて、ご自身に合うものや効果があると感じるものがあれば続けてみてください。
まとめ
今回は、PMSのうち、とくにこころの症状が強く出る「PMDD」という状態について、原因や対策をご紹介しました。
PMDDは、我慢でなんとかなるものではありません。生理に関連してつらい症状がある場合、まずは婦人科へご相談ください。ご自身に合った治療を受けることで、症状をやわらげ、日々の生活を快適に過ごすことができるようになります。
監修者
産婦人科専門医原野 尚美
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