低用量ピルを吐き気で諦める前に!対処法をご紹介

監修者:産婦人科医 原野尚美 


最終更新日

低用量ピルを吐き気で諦める前に!対処法をご紹介

「低用量ピルで吐き気がする」という経験をされた方はいますか?吐き気は比較的頻度の高い副作用で、低用量ピルの服用をやめる理由の1つでもあります。

とはいえ、生理痛の軽減や生理不順の改善のために、低用量ピルはとても便利なもの。吐き気にうまく対処して、低用量ピルを諦めずに続けられれば助かりますよね。

今回は、低用量ピルで生じる「吐き気」の副作用について、原因や対処法をお伝えします。

目次

  • 1.低用量ピルによる吐き気の原因と特徴
  • 2.吐いてしまったら?
  • 3.吐き気のセルフケア方法
  • 4.吐き気がおさまらないときには
  • 5.まとめ

低用量ピルによる吐き気の原因と特徴

まずは、低用量ピルで吐き気が起こる原因や、吐き気の特徴についてお伝えします。

ホルモンバランスの変化が原因

低用量ピルの服用によって生じるマイナートラブルの多くは、ピルで補充される女性ホルモンのバランスが、本来ご自身の体から分泌されていた女性ホルモンの量とは変わることが原因ではないか、と考えられています。はっきりと原因が特定されていないのが現状です。

OC・LEPによる内因性ホルモンの変動

低用量ピルを服用すると、一定量の女性ホルモンが体に補充されるようになります。体は、「体内に女性ホルモンがあるから、自分で作るホルモン量を減らしても大丈夫だ」と判断し、少しずつ自分で分泌する女性ホルモン量を減らします。

低用量ピルの服用を始めたばかりの頃は、「ホルモンを分泌する必要があるかどうか、体が決めかねている」というように、イメージしてみてください。
体から女性ホルモンが分泌されているのに低用量ピルでも補充していれば、一時的に体内で女性ホルモンの量が増えることになります。その結果、ホルモンによる影響を強く受け、吐き気が生じてしまうのです。

はじめの数週間に出やすい

吐き気を中心として、低用量ピルによるマイナートラブルは、はじめの数週間を中心にあらわれます。低用量ピルによって女性ホルモンが補充される状況に、体が慣れていないためです。
長くても、1〜3か月でおさまることが多いので、あまり心配はいりません。

吐き気の程度は「少しムカムカする」程度の方が多いですが、まれに生活に支障が出るほどの吐き気を感じてしまう方もいます。

  • 一向に吐き気がおさまらない
  • 日が経つごとに吐き気が強くなっている

こういった場合は、低用量ピルが原因ではない可能性もありますので、お早めにご相談ください。

吐き気以外にも、飲み始めに起こりやすいマイナートラブルとして、以下のような症状があります。

  • 不正出血
  • むくみ、体重増加
  • 頭痛

吐いてしまったら?

低用量ピルを服用したあと、吐いてしまったときには特別な対処が必要です。

【服用して3時間以内の場合】
服用して3時間経過していない場合は、ピルが十分に吸収されておらず、効果が弱まってしまう可能性があります。1錠分、追加で服用しましょう。翌日からは、また1日に1錠ずつ服用していきます。
低用量ピルのシートが、1日分早くなくなるということです。

【服用して3時間以上経過している場合】
服用してから3時間以上経過していれば、基本的にはピルの効果に影響はないと考えられます。追加で服用する必要はありません。

24時間以上にわたって、複数回の嘔吐があるような場合は、一旦低用量ピルの服用を中止してください。2回分中止して再度服用を開始する場合には、避妊効果が不十分となってしまう可能性があります。こちらのページ(https://mypill.online/column_58.html)で対処法を解説していますので、ご確認ください。3回分以上ピルの服用を終始した場合は、服用をリセットし、生理(消退出血)を起こした方がよいでしょう。

また、脱水には注意してください。吐いてしまうことで水分が失われ、脱水状態になってしまうことがあります。脱水状態が続くと、低用量ピルの副作用である「血栓症」が起きるリスクが高くなります。少しずつでよいので、水分をとるようにしましょう。

吐き気のセルフケア方法

吐き気がおさまるまで、ご自身でできるケア方法をお伝えします。低用量ピルを諦める前に、まずは試してみてください。

①服用時間を寝る前にする
寝る前に服用することで、寝ている間に「吐き気を感じる時間」が過ぎていくため、吐き気をほとんど感じずに済む可能性が高いです。

②服装や姿勢を工夫する
お腹周りを締め付けるような服装を避け、楽な姿勢をとりましょう。横になって足を曲げ、丸まった体勢になると楽に感じることが多いです。

③飲み合わせをチェック
一部の抗ウイルス薬や抗真菌薬、痛み止めなどによって、ピルの作用が強まり、吐き気症状を起こしていることも考えられます。何か薬やサプリメントを服用されているのであれば、一度薬剤師に飲み合わせのチェックをしてもらうのもよいでしょう。

吐き気がおさまらないときには

吐き気がつらいときには、ご自身でのケアだけでなく、病院で相談してみましょう。主に2つの対応策があります。

吐き気止めを使う

飲み始めの時期であれば、慣れるまで一時的に吐き気止めを使うという方法があります。吐き気をただ我慢しているのもつらいですから、お薬で対処しましょう。マイピルでも、吐き気止めを取り扱っていますので、ご相談ください。

低用量ピルの世代を変えてみる

低用量ピルの世代を変えることで、吐き気がやわらぐことがあります。

低用量ピルに含まれる女性ホルモンのうち、「プロゲステロン(黄体ホルモン)」には胃腸の動きを抑える作用があり、それによって胃もたれをしたような状態になって吐き気を感じることがあるようです。

低用量ピルの世代によって、配合されている「プロゲステロン」の種類が違います。それぞれ作用はほとんど同じですが、薬である以上、種類によって体に合う・合わないを感じる可能性は考えられます。
世代を変えて体に合うプロゲステロンを見つければ、吐き気をあまり感じずに過ごせるかもしれません。

まとめ

今回は、低用量ピルの服用初期に起こりやすい副作用の1つ、吐き気の原因や対処法をお伝えしました。
ほとんどの場合、実際に吐いてしまうことは少ないですが、それでも吐き気を我慢して生活するのはつらいものです。寝る前に服用する、服装や姿勢を工夫するといったご自身でできるケア方法をお試しください。
それでも吐き気がつらい場合には、吐き気止めを使うか、低用量ピルの種類を変えてみるのも1つの方法です。副作用でお困りのことがあれば、婦人科でご相談ください。マイピルでもご相談を受けています。

監修者
産婦人科専門医原野 尚美

いかがでしたでしょうか?マイピルでは産婦人科の医師が、ピルに関するどんな小さな疑問や不安でも、直接お電話でお答えいたします。

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