ピルの個人輸入は危険?安全な処方と購入方法

監修者:産婦人科医 原野 尚美

最終更新日

ピルの個人輸入は危険?安全な処方と購入方法

毎月の重い生理痛やPMS(月経前症候群)、あるいは予期せぬ妊娠への不安など、女性特有のデリケートな悩みは本当に尽きないですよね。忙しい毎日の中で「病院に行く時間がない」「少しでも安く済ませたい」というお気持ちから、ネット通販のように手軽な個人輸入サイトにたどり着く方は少なくありません。

「病院で貰うより安いから、個人輸入でピルを購入したい」

「個人輸入でピルを買うと、何か問題があるの?」

SNSなどでも海外医薬品の個人輸入代行サイトに関する情報が見受けられますが、専門的な視点からお伝えすると、ピルの個人輸入は推奨できません。

今回は、なぜピルの個人輸入には注意が必要なのか、そこに潜むリスクや、ご自身の身体を守りながら適切にピルを手に入れるための方法について、わかりやすく丁寧に解説します。

ピルの個人輸入が推奨されない理由

個人輸入のリスク

個人輸入代行サイトとは、海外の医薬品を購入するための手続きをすべて代わりに行ってくれるサイトのことです。ネットショッピング感覚で簡単に利用できてしまいますが、その手軽さの裏には想像以上のリスクが潜んでいます。

有効性や安全性が確認されていないケースがある

ドラッグストアや薬局、病院で手に入る医薬品は、すべて国が定める厳しい基準をクリアし、品質が確認されたものです。しかし、個人輸入で海外から取り寄せるピルは、日本の厚生労働省による審査を受けていません。

医薬品医療機器等法(薬機法)に基づく正規のルートを通っていないため、その薬の品質や安全基準が確認されないまま手元に届くことになります。

有効成分が入っていない偽造薬の可能性がある

個人輸入した薬の中には、見た目だけを精巧に似せた「偽造薬(偽物)」が紛れ込んでいるケースが多々報告されています。WHO(世界保健機関)の調査報告などでも、インターネット上で流通する医薬品の一定割合が偽造薬であると警告されています。

万が一有効成分が全く入っていなければ、アフターピル(緊急避妊薬)を飲んだのに望まない結果を招いたり、低用量ピルを飲んでも生理痛やPMSが全く改善しなかったりする恐れがあります。

表示と違う不純物が混ざっていることがある

劣悪な環境で製造されたことで、有害な不純物が混入しているケースも報告されています。過去には、無承認の海外医薬品から多量の鉛などの有害物質が検出され、健康被害を引き起こした事例もあります。

万が一のトラブル時に「すぐに相談できる相手」がいない

国内において疾患の治療目的(保険適用)で処方された医薬品を適正に使用し、重大な副作用が起きた場合、「医薬品副作用被害救済制度」という給付を受けられる仕組みがあります。

※避妊目的や生理日移動など、自費診療で処方されたピルについては、国内処方であっても同制度の対象外となります。

個人輸入で購入したピルで万が一健康被害が起きた場合も、当然これらの救済対象外となります。

ただ、自費診療であっても一番大切なのは、お薬を飲んで身体に異変を感じた際「すぐに相談できる担当医師がいるかどうか」です。個人輸入にはこのサポート体制がないことが、非常に大きなリスクと言えるでしょう。

目次

個人輸入のピルを服用するリスクとは?

「友達は大丈夫だと言っていたし自分も平気だろう」と考えるのは注意が必要です。体質は人それぞれ異なり、以下のようなトラブルに巻き込まれる可能性があります。

正しく服用しても避妊に失敗する恐れ

成分が不足していたり、全く違う成分が入っていたりする偽造薬の場合、正しく毎日服用しても期待する効果は得られません。国内で承認された低用量ピルを正しく服用した場合の避妊成功率は約99.7%と言われていますが、出どころの不明な輸入薬ではこの確率は担保されず、望まない妊娠への不安を抱え続けることになります。

予期せぬ健康被害に苦しむケース

ピルではありませんが、過去に海外から経口妊娠中絶薬を個人輸入して服用した女性が、多量の出血やけいれん、激しい腹痛を起こして救急搬送された事例が実際に厚生労働省から報告されています。手軽さや安さの裏には、身体への重大な負担が潜んでいる可能性があります。

なぜ個人輸入のピルは極端に安いの?

個人輸入のピルが、日本の病院で処方されるものより極端に安い場合、そこには理由があります。

日本のように厳密に衛生管理された工場で製造されておらず、有効性や安全性に関する臨床試験(テスト)を一切行っていないため、コストが大幅にカットされているケースなどです。また、ジェネリックを装った偽造薬であるために価格が異常に安く設定されていることも少なくありません。

ピルは自己判断で服用しないほうが良いケースも

ピルは決して「誰でも手軽に飲めるサプリメント」ではありません。特に低用量ピルには、血液がドロドロになり血管が詰まる「血栓症」という重大な副作用のリスクが潜んでいます。

【血栓症のリスクが高く、服用に注意が必要な方】

  • 35歳以上で1日15本以上のタバコを吸う方
  • 過去に血栓症を起こしたことがある方
  • 前兆を伴う片頭痛がある方
  • 産後間もない方
  • BMIが高い(肥満傾向にある)方

医師の問診を受けずに自己判断で薬を飲むことは、非常に危険です。また、ネット上の噂で「ピルを飲むと痩せる」といった誤った情報を信じて個人輸入に手を出す方がいますが、ピルにダイエット効果はありません。

適切な管理下の国内承認薬等を手に入れる2つの方法

適切な管理下の国内承認薬等を手に入れる2つの方法

ご自身の身体と未来を守るために、ピルは医師の診察を受けたうえで手に入れてください。安心できる主な方法は以下の2つです。

産婦人科などの医療機関を直接受診する

お近くの産婦人科や婦人科を受診し、医師に直接相談して処方してもらう方法です。血圧測定や問診を行い、血栓症のリスクがないかを確認した上で、あなたの体質や悩みに合ったピルを提案してくれます。

オンライン診療を利用する

「病院に行く時間が作れない」「婦人科の待合室で知り合いに会うのが気まずい」という方には、スマートフォン一つで医師の診察を受けられるオンライン診療がおすすめです。

郵送でピルが届くという手軽さは個人輸入と似ていますが、「国内の医師が責任を持って診察し、品質が管理されたお薬が届く」「服用後の不安も医師に相談できる」という点で、不確実なリスクを避けることができます。

比較表:個人輸入 vs 病院受診 vs オンライン診療

それぞれの特徴を比較してみましょう。

項目 個人輸入代行サイト 病院・クリニック受診 オンライン診療(マイピル等)
品質・安全性 不明(偽造薬のリスクあり) 国内承認薬等(副作用リスクあり) 国内承認薬等(副作用リスクあり)
医師の診察 なし(自己判断) あり(対面) あり(電話やビデオ通話等)※
手軽さ・通院 スマホで完結 通院・院内での待ち時間あり スマホで完結・待ち時間なし
服用後の相談 相談先なし 担当医に相談可能 担当医に相談可能

(※) 医師の判断により、対面受診(お近くの医療機関の受診)をお勧めする場合があります。

よくある質問(FAQ)

ドラッグストアなどで処方箋なしで買える市販薬のピルはないのですか?

現在の日本において、低用量ピルは「医療用医薬品」に分類されているため、医師の処方箋なしでドラッグストアや薬局で購入することはできません。必ず医師の診察を受ける必要があります。


仕事が忙しく、どうしても病院の診療時間に間に合いません。

そのような方にこそ、オンライン診療がおすすめです。「マイピル」を利用すれば、スキマ時間にスマホから予約ができ、移動時間や院内での待ち時間を気にせず医師の診察を受けられます。お薬はご自宅のポスト等に届くため、忙しい女性の強い味方になります。

まとめ

ピルを安さや手軽さだけで個人輸入することは、リスクが伴うため推奨できません。有効成分が入っていない偽造薬を手にしてしまったり、思わぬ健康被害を引き起こしたりする恐れがあります。万が一トラブルが起きても、相談できる相手がおらず自己責任となってしまいます。

自分の大切な体を守るためにも、必ず医師の診察を受け、適切な管理下にあるお薬を処方してもらいましょう。

「マイピル」では、ピル処方に精通した医師がしっかりと問診を行い、あなたに最適なピル(低用量ピル、アフターピル、生理日移動ピルなど)をご提案します。取り扱っているお薬は、医師の判断に基づき適切に管理された医薬品です。

「病院へ行く時間がない」「誰にも相談できず不安」という方は、ぜひご自宅からリラックスした状態で受けられるマイピルのオンライン診療を活用し、安心できる日々を取り戻してくださいね。

参考文献

  1. 緊急避妊法の適正使⽤に関する指針 (令和 7 年改訂版) - 日本産科婦人科学会
  2. 低用量経口避妊薬の使用に関するガイドライン(改訂版) - 日本産科婦人科学会
  3. 医薬品等を海外から購入しようとされる方へ - 厚生労働省
  4. 医薬品副作用被害救済制度について - 独立行政法人 医薬品医療機器総合機構(PMDA)
  5. 経口避妊薬(OC)と血栓症リスクに関する見解 - 日本血栓止血学会

 

産婦人科専門医 原野尚美

監修者
産婦人科専門医原野 尚美

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