低用量ピル服用中の不正出血!原因と対処法

監修者:産婦人科医 原野 尚美

最終更新日

低用量ピル服用中の不正出血!原因と対処法

低用量ピルを服用中に、思わぬ出血が起きてしまったという経験はありませんか?

生理周期をきれいに整えたい、あるいはつらい生理痛を和らげたいと思って低用量ピルを飲み始めたのに、予想外のタイミングで不正出血が起きると、「身体に異常があるのではないか」ととても不安になってしまいますよね。

実は、ピル服用中の不正出血は非常に頻度の高い症状であり、多くの場合が身体がピルに慣れていく途中で起こる一時的なものです。しかし、中には放置してはいけない異常な出血や、病気が隠れているサインであるケースもあります。

今回は、低用量ピル服用中の不正出血について、その特徴や原因、そして実際に起こったときの正しい対処ステップを、初めての方にも分かりやすく読者に寄り添って解説します。正しい知識を身につけて、不安を安心に変えていきましょう。

低用量ピル服用中の不正出血の特徴

低用量ピル服用中の不正出血の特徴

低用量ピルを服用している最中に起こる不正出血は、実はピルを飲んでいる方の約20%から30%が経験すると言われるほど、非常によく見られる副反応の1つです。まずは、この不正出血がどのようなものなのか、その特徴を詳しく見ていきましょう。

1. 出血の量が比較的少量である

低用量ピルによる一時的な不正出血には、大きく分けて2つの特徴があります。

1つ目は、出血の量が比較的少量であることです。多くのケースでは、本格的な生理のときのようなドバッと出る鮮血ではなく、茶色っぽいおりもののような出血や、下着にうっすらとピンク色の血がつく程度で収まります。おりものシートやナプキンで十分に間に合う量であれば、過度に心配する必要はありません。

2. ピルの飲み始めの時期に集中して起こる

2つ目は、ピルの飲み始めの時期に集中して起こることです。初めて低用量ピルを飲み始めたときや、ピルの種類を変更したとき、あるいはしばらく服用を休んでいて再び再開したときなどに、最初の1ヶ月目から3ヶ月目にかけて不正出血が起こりやすくなります。この期間内の少量な出血であれば、身体の正常な反応の範囲内と言えます。

目次

なぜ不正出血が起きるの?主な原因

なぜ不正出血が起きるの?

原因①:ホルモンバランスの一時的な変化(飲み始めの時期)

飲み始めの時期に少量の不正出血が続いてしまう最大の理由は、体内のホルモンバランスが急激に変化することにあります。

低用量ピルを服用すると、これまで自分の卵巣から分泌されていた女性ホルモンに代わって、ピルに含まれる一定量の女性ホルモンが外から補給されるようになります。これにより、体内のホルモン環境がガラリと変化するのです。

ピルを飲み始めたばかりの頃は、この新しいホルモンバランスに身体や子宮の内膜がまだ上手になじむことができません。子宮の内側を覆っている子宮内膜という組織が一時的に不安定な状態になり、その一部が少しずつ剥がれ落ちてしまうことで、茶色いおりものや少量の出血となって現れます。

毎日決まった時間にピルを飲み続け、2ヶ月、3ヶ月と経過して身体がこの一定のホルモン量に慣れてくると、子宮内膜も安定し、不正出血は自然と落ち着いていくことが多いです。

原因②:生活習慣や体調不良による影響

OC・LEPによる内因性ホルモンの変動

ホルモンバランスは、日々のストレスや体調の変化にも非常に敏感です。仕事の忙しさや環境の変化による精神的なストレス、過度なダイエット、睡眠不足などが重なると、ピルを正しく飲んでいても一時的に不正出血が引き起こされるケースがあります。

また、激しい下痢が続いていたり、薬を飲んだ後に吐いてしまったりした場合には注意が必要です。ピルの有効成分が胃や腸で十分に吸収されずに身体の外へ出てしまうため、体内の女性ホルモン成分が一時的に低下し、不正出血を招くリスクが高まります。下剤を日常的にたくさん使っている場合も、同様にピルの効果が弱まってしまう可能性がありますので、体調管理には十分に気を配りましょう。

原因③:婦人科系疾患の可能性

ピルを何ヶ月も飲み続けていて、すでに身体が慣れているはずの時期であるにもかかわらず、急に不正出血が始まったり、長期間止まらなかったりする場合は、ピルの副反応ではなく別の原因を疑う必要があります。

ピルとは全く関係のない、婦人科系の疾患が原因で出血しているケースがあります。代表的なものとしては、子宮の壁に良性のコブができる子宮筋腫、子宮の内膜にできるポリープ、術後の経過や、子宮頸がん・子宮体がんといった悪性腫瘍が挙げられます。

特に子宮頸がんは、20代や30代の若い女性でも発症する可能性が十分にあります。また、更年期に近い年齢の方であれば、ホルモンの乱れによる機能性出血の可能性もあります。数ヶ月以上も定期的な婦人科検診を受けていない方は、不正出血が続くようであれば、早期発見・早期治療のためにも一度病院でエコー検査やがん検診をしっかりと受けることが大切です。

原因④:性感染症(STI)による炎症

クラミジア感染症や淋菌感染症、トリコモナス症などの性感染症も、子宮の入り口や内部に強い炎症を引き起こし、不正出血の原因となります。

特に女性の場合、クラミジアなどの性感染症に感染しても、全体の半数近くの人が初期段階で痛みなどの自覚症状をほとんど感じません。そのため、自分でも気がつかないうちに感染が進行していることがよくあります。

不正出血に加えて、おりものの量が急に増えた、色や匂いがいつもと違う、下腹部に軽い痛みがあるといった変化を感じる場合は、放置せずに婦人科の外来を受診してください。パートナーが変わったタイミングなどで不安がある場合は、症状がなくても検査を受けることが可能です。

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不正出血が起きたときの正しい対処3ステップ

ピルの飲み忘れと生理

実際にピルを服用している期間中に不正出血が起きてしまったら、どのように行動するのが正しいのでしょうか。具体的な対処ステップを整理しました。

ステップ1:自己判断でピルを中断しない

2種類の女性ホルモンの分泌量と生理

一番やってはいけないのは、出血したことに驚いて、自分の判断でピルの服用を急に止めてしまうことです。

飲み始めの1ヶ月から3ヶ月の間に起こる少量の出血であれば、それは身体が新しいホルモンバランスに慣れようとしているサインと考えられます。ピルの服用を途中で止めてしまうと、体内のホルモン量が急激に低下し、さらに本格的な出血(消退出血)を誘発してしまいます。避妊の効果も失われてしまうため、出血が少量で、激しい痛みを伴わないのであれば、まずはそのまま毎日決まった時間にピルを飲み続けて様子を見ましょう。

また、毎日飲む時間がバラバラになっていると、体内のホルモン濃度が安定せずに出血しやすくなります。アラームを設定するなどして、24時間ごとの一定のタイミングで内服するよう習慣づけてみてください。

ステップ2:病院を受診する目安を知る

様子を見て良いとはいえ、どのくらい出血が続いたら病院に行くべきかという目安を知っておくと安心ですよね。

一般的な目安として、少量の出血であっても2週間以上ダラダラと止まらずに続く場合や、出血の量がだんだん増えて普段の生理と同じくらい多くなった場合、また鮮やかな赤色の血(鮮血)が出る場合は、一度婦人科を受診してください。

さらに、急な下腹部痛を伴う場合や、出血が長引くことでめまいや立ちくらみといった貧血の症状が現れた場合も、我慢せずに早めの診察を受けることが推奨されます。

ステップ3:医師に相談してピルの種類を変更する

もし病院の検査で疾患が見つからず、ピルのホルモン量が身体に合っていないことが原因だと分かった場合は、ピルの種類を変更することで不正出血の症状が落ち着くケースもあります。

低用量ピルにはいくつかの種類(世代)があり、それぞれ含まれている女性ホルモンの成分や配合量が異なります。一般的に、エストロゲン(エチニルエストラジオール)という成分の含有量が非常に少ない超低用量ピルや、第3世代と呼ばれるピル(マーベロンやファボワールなど)は、人によっては不正出血が起こりやすい傾向があります。

このような場合は、医師としっかり相談した上で、第1世代(シンフェーズなど)や、第2世代(トリキュラー、ラベルフィーユ、アンジュなど)といった、別の世代のピルへの切り替えを試してみるのがおすすめです。

忙しい方には「マイピルオンライン」の活用もおすすめ

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※医師の診察の結果、処方されない場合もあります。

不正出血に関するよくあるQ&A

Q. 服用を始めてすぐに茶色いおりものが出ました。大丈夫ですか?

A. はい、ピルの飲み始めの時期(1ヶ月から3ヶ月目)であれば、茶色いおりもののような出血はよくある一時的な副反応ですので、基本的にはそのままピルの服用を続けて大丈夫です。これは、少量の血液が子宮から排出されるまでに時間がかかり、酸化して茶色く変化したものと考えられます。ただし、この状態が2週間以上続く場合や、痛みを伴う場合は、別の原因がないか医師に相談することをお勧めします。

Q. ピルを飲み忘れた後に起きた出血はどうすればいいですか?

A. ピルを飲む時間が大幅に遅れたり、飲み忘れたりすると、体内のホルモン濃度が急に下がるため、子宮内膜が維持できなくなって出血(破綻出血)が起こります。飲み忘れに気づいた時点で、すぐに忘れた分の1錠を服用し、その日の分のピルも通常の時間に服用してください(一度に2錠飲むことになっても問題ありません)。その後はスケジュール通りに服用を継続しますが、出血が続く間や避妊効果の低下が心配な期間は、コンドームを使用するなど別の避妊方法を併用してください。

Q. 出血と一緒に下腹部痛がある場合は危険ですか?

A. ピルの飲み始めに軽い生理痛のような鈍痛を感じることはありますが、歩くのがつらいほどの激しい下腹部痛や、刺すような痛みが伴う出血がある場合は、子宮内膜症や子宮筋腫、骨盤内感染症といった婦人科系の疾患、あるいは異変のサインである可能性が考えられます。このような場合は自己判断で様子を見ようとせず、速やかに医療機関を受診して、エコー検査などで子宮や卵巣の健康状態をチェックしてもらいましょう。

まとめ

今回は、低用量ピルの服用中に起こる代表的な副反応である不正出血について、その原因と正しい対処法を詳しくお伝えしました。

飲み始めの3ヶ月目頃までは、ホルモンバランスの変化に伴って誰にでも起こり得る症状ですので、まずは焦らずに毎日の服用を正しい時間で続けて、経過を見守りましょう。体がお薬に慣れていくにつれて、多くの場合は自然と出血がおさまっていきます。

しかし、2週間を超えて長く続く出血や、多すぎる出血量、強い痛みを伴うといった場合には、身体からの大切なSOS信号かもしれません。オンライン診療などを上手に頼りながら、専門の医師に相談してご自身の身体を優しくいたわってあげてくださいね。

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参考文献

  1. 低用量経口避妊薬、低用量エストロゲン・プロゲストーゲン配合剤ガイドライン(案)
  2. 月経困難症治療剤 ドロスピレノン・エチニルエストラジオール錠 処方箋医薬品 ヤーズ配合錠
  3. (1)月経困難症(日本産科婦人科医会)
  4. 米国の避妊薬使用に関する医学的適格基準(2024年)

産婦人科専門医 原野尚美

監修者
産婦人科専門医原野 尚美

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