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低用量ピルは肝臓に負担をかける?肝臓がんや肝機能障害のリスクが高まるって本当?
監修者:産婦人科医 原野尚美
最終更新日
「低用量ピルを飲もうか迷っているけど肝臓に負担をかけると聞いて不安」
「低用量ピルで肝臓がんや肝機能障害のリスクが高まるって聞いたけど本当?」
低用量ピルは生理を軽くしたりPMSを改善したりできる便利な薬ではありますが、肝臓に悪いという噂を聞いて不安になっている方もいるかもしれません。実際に低用量ピルを服用することで肝臓に何か悪い影響が出るのでしょうか。
今回は、低用量ピルが肝臓に与える影響や、服用することによるリスクについて詳しく解説します。
目次
- 1.低用量ピルは肝臓に負担をかけるの?
- 2.低用量ピルが肝臓に与える影響
- 3.肝臓の状態によっては低用量ピルを服用できないことがあるので注意
- 4.そもそも肝臓はどのような役割をしているの?
- 5.肝臓の機能が落ちるとどうなるの?
- 6.日頃の生活で肝臓の負担を減らすためにできること
- 7.肝臓の負担を最小限にするための低用量ピルの使用方法
- 8.低用量ピルは正しく服用しよう
低用量ピルは肝臓に負担をかけるの?
結論から言うと、低用量ピルは肝臓に負担をかけることがあります。こう聞くと「やっぱり低用量ピルは危ない薬なのか」と考える方がいるかもしれません。しかし、肝臓に負担をかける薬は低用量ピルだけではないのです。
薬の多くは肝臓で代謝されるため、多少なりとも負担をかけることがあります。そのため、低用量ピルだけが肝臓に負担をかけやすいわけではありません。
低用量ピルが肝臓に与える影響
「肝臓に負担をかける」と言われても、ピンと来ない方もいるかと思います。具体的にどのような影響があるのかを見ていきましょう。
γGTP、AST、ALTを上昇させることがある
低用量ピルの服用により、γGTPやAST、ALTが上昇することが報告されています。これらは肝機能を示す指標です。γGTPはたんぱく質を分解する酵素として知られており、飲酒量が多いときや胆道系疾患があるときに上昇することがあります。
ASTとALTは肝臓に含まれる酵素の一種です。肝臓に何かしらの障害が起こると血液中にASTとALTが漏れてくるため、肝臓の機能を見るのによく使われています。
低用量ピルを服用したからといって100%の確率でγGTPやAST、ALTが上昇するわけではありません。しかしながら、一部の方でこれらの値の上昇が確認されています。
肝臓がんや肝機能障害の原因になることがある
どれくらいの確率で起こるのかは不明ですが、低用量ピルを長期間飲み続けることで極まれに肝臓がんや肝機能障害の原因になることがあります。しかし、こちらも低用量ピルだけに特有の問題ではなく、ほかの薬についても同様です。どの薬を服用していても肝臓がんや肝機能障害のリスクは存在します。
具体例として、低用量ピルの一つであるトリキュラーで副作用の肝機能異常が起こる確率は1%未満です。肝臓がんや肝機能障害との関連は明確には言及されていません。また、ある研究では20人の女性に低用量ピルを2か月にわたって服用してもらったところ、肝機能への影響はほとんど見られなかったと報告されています。
肝臓の状態によっては低用量ピルを服用できないことがあるので注意
重篤な肝機能障害がある方は、低用量ピルを代謝する力が落ちており肝臓への負担が増加する可能性があります。そのため、このような状態の方には低用量ピルの服用は避けるべきです。
肝臓の機能がもともと落ちている方では、低用量ピルに限らず他の薬の服用も制限されることがあります。肝臓に負担をかけるだけでなく、薬がうまく代謝されずに効きすぎてしまう可能性があるためです。
そのため、薬の種類によっては、肝臓の検査をして服用をしても問題ないかどうかを調べることがあります。
そもそも肝臓はどのような役割をしているの?
肝臓はさまざまな働きを担っている臓器です。人間の臓器のなかではもっとも大きいと言われています。肝臓の働きとしては、次の4つが代表的です。
薬の代謝
服用した薬は、体内に入ると必ず代謝を受けます。代謝の大部分を担っているのが肝臓です。薬は小腸で吸収され、肝臓に入って代謝を受けることで多くは活性の低い物質に変換されます。
薬の種類によってはほとんどが肝臓で代謝されて効き目が大きく落ちるものもあるため、代謝を受けにくいように工夫された薬も存在します。
有害物質の解毒・分解
肝臓は有害物質の解毒や分解を行う場所です。摂取した物質は肝臓で代謝されて毒性の低い物質に変換されます。有名なのがアルコールの代謝ではないでしょうか。アルコールは肝臓でアセトアルデヒドに分解され、さらに代謝を受けて毒性のない酢酸などに分解されます。
たんぱく質の合成や栄養の貯蔵
肝臓は、アミノ酸まで分解されたたんぱく質を取り込み、さまざまなたんぱく質に作り変える場所でもあります。たとえば、アルブミンや凝固因子は肝臓で作られるたんぱく質の仲間です。アルブミンは血漿の浸透圧維持を行い、凝固因子は出血を止める際に必要になります。
胆汁の合成・分泌
胆汁とは、脂肪の乳化やたんぱく質の分解に関わっている物質です。肝臓では、胆汁の合成や分泌も行われています。胆汁があることで脂肪が吸収されやすくなるため、消化吸収には欠かせません。
肝臓の機能が落ちるとどうなるの?
肝臓の機能が落ちると、代謝する力が弱くなるため服用した薬が効きすぎてしまうことがあります。効きすぎることで副作用が起こりやすくなることから、肝臓の機能が落ちている方では用法用量の調節が必要です。また、たんぱく質を作る力が落ちる影響で浸透圧の調整や免疫機能の低下を来す可能性もあります。
日頃の生活で肝臓の負担を減らすためにできること
日頃の生活に気をつけることで、肝臓の負担を減らすことができます。
バランスの良い食事を心がける
ビタミンやミネラル、たんぱく質などをバランス良く摂ることで、肝臓の負担を減らすことが可能です。そのためにも、主食や主菜、副菜を揃えて偏った食事をしないようにしましょう。
標準体重を維持する
体重が増えると、肝臓にも脂肪がつきやすくなります。肝臓に中性脂肪が溜まった状態が脂肪肝です。脂肪肝を放置していると肝炎や肝硬変を引き起こすこともあるため、早めの対処が必要になります。脂肪肝になる原因の多くは、過食やアルコールの過剰摂取です。
アルコールを飲みすぎない
アルコールの代謝はおもに肝臓で行われています。多量にアルコールを飲むとそれだけ肝臓に負担がかかるので注意しましょう。飲酒量が多く飲酒期間が長いほどアルコール性肝障害になりやすいと言われています。
厚生労働省は節度ある適度な飲酒量として一日あたりビール中瓶1本(純アルコールとして約20g)を推奨しているので、こちらの量を目安にしてみてください。
薬は用法用量を守って使用する
薬を服用するときは、必ず用法用量を守ってください。規定の量よりも多く飲むことで肝臓へ大きな負担をかけることがあります。
肝臓の負担を最小限にするための低用量ピルの使用方法
低用量ピルは肝臓に負担をかける恐れがある薬です。ほかの薬でも肝臓に負担をかけることはあるため過度に心配する必要はありません。肝臓の負担を最小限にしたい方は、次の2点を守るようにしましょう。
個人輸入した低用量ピルを使わない
個人輸入した低用量ピルは絶対に使用しないでください。低用量ピルはクリニックを受診しなくても個人輸入で簡単に手に入る時代です。しかし、個人輸入した薬は表記と違う成分が入っていたり有害な物質が混ざっていたりすることがあります。これにより過度に肝臓へ負担をかけることがあるため、必ずクリニックで処方してもらうようにしましょう。
定期的に血液検査を受ける
定期的に血液検査を受けて肝臓の健康状態をチェックする方法があります。肝臓は障害を受けても自覚症状が出にくいため、定期的に検査をすることが大切です。肝臓の機能を詳しく調べたい方は内科や消化器内科で検査してもらうとよいでしょう。
低用量ピル内服中の方は、年に一回の血液検査を行うことが推奨されています。会社などで受ける健康診断の項目の中に肝機能の検査が入っているので必ず健康診断は受けましょう。
低用量ピルは正しく服用しよう
低用量ピルは肝臓に負担をかけることがあります。しかし、低用量ピルだけが特別に負担が大きい薬というわけではありません。ほとんどの薬は肝臓で代謝を受けるため、どうしても負担をかけてしまいます。
非常にまれなケースではありますが、低用量ピルが肝臓がんや肝機能障害の原因になることもあるため、用法用量を守り、個人輸入での購入を避けたりなどして、正しい方法で低用量ピルを服用することが大切です。
監修者
産婦人科専門医原野 尚美
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