排卵期出血と不正出血の見分け方|量・色・時期
「ピルを飲んでいると、血栓症という怖い病気になるリスクがあるって本当?」
「体に血の塊ができるなんて、長く飲み続けても大丈夫なのかな……」
低用量ピルは生理痛を和らげたり、肌荒れを改善したりと、女性の毎日をとても豊かにしてくれる心強い味方です。しかし、インターネットやSNSで「血栓症」という言葉を目にすると、どうしても不安になってしまいますよね。
確かに、ピルの副作用の中で血栓症は最も気をつけなければいけない重篤な症状の一つです。だからこそ、正しい知識を持って、万が一のサインを早く見つけられるようになっておくことが大切です。
今回は、低用量ピルと血栓症の本当の関係性や、「なぜ起こるのか」という仕組み、そして知っておくべき初期症状(足のしびれ、息苦しさなど)や予防対策について、初めての方にも分かりやすく丁寧に解説します。あなたの不安な気持ちに寄り添いながら、安全にピルと付き合うためのお手伝いをさせていただきます。
低用量ピルと血栓症の基本知識

低用量ピルは、現代を生きる女性の生活を豊かにするための素晴らしい選択肢として、日本国内でも広く普及してきました。避妊効果だけでなく、つらい生理痛(月経困難症)の緩和、PMS(月経前症候群)の軽減、生理周期のコントロールなど、多くのメリットが期待できます。
しかし、お薬である以上、どのようなものにも副次的な影響(副作用)が存在します。ピルを安全に使用するためには、これらの影響を正しく比較し、理解しておくことが大切です。
頻度は少し高いが、危険性は低い副作用
吐き気、むくみ、体重増加、胸の張り、不正出血、頭痛など。これらは飲み始めの初期に現れやすく、体が慣れるにつれて自然と収まることが多い症状です。
頻度は低いが、危険性の高い副作用
血栓症(けっせんしょう)。これが、ピルを服用する上で最も注意すべき疾患です。
血栓症とはどんな病気?

血栓症とは、血管の中に「血の塊(血栓)」ができてしまい、それが血流に乗って血管を詰まらせてしまう病気です。よく「エコノミークラス症候群」と呼ばれるものも、この一種です。
血液の流れ(静脈の流れ)がストップしてしまうため、詰まる場所によって現れる症状や病名が異なり、脳の血管に詰まれば「脳梗塞」、心臓の血管なら「心筋梗塞」、肺の血管に詰まれば「肺塞栓症」と呼ばれます。いずれの場合も、命に関わる可能性があるため、急な体調の変化に対する正しい知識と速やかな対応が求められます。
ピルによる血栓症リスクの「真実」と数値比較
「ピルを飲むと、血栓症のリスクが何倍にも跳ね上がる」と聞いて、怖くなってしまう方もいるかもしれません。実際の数字を比べた、以下のわかりやすいデータを見てみましょう。
| 対象となる女性の状況 | 1万人あたりに血栓症を起こす年間人数(目安) |
| 低用量ピルを服用していない女性 | 1〜5人 |
| 低用量ピルを服用している女性 | 3〜9人 |
| 妊娠中の女性 | 5〜20人 |
| 出産後12週間以内の女性 | 40〜65人 |
この表を比較するとわかるように、確かにピルを飲んでいない人と比べると、発症のリスクは3〜5倍になります。しかし、全体として見れば「1万人の中でわずか3〜9人」という、確率としては本当にごくわずかな傾向です。
さらに驚くべきことに、妊娠中や出産直後の女性の方が、ピルを服用しているときよりもはるかに血栓症を起こす確率が高いのです。ですから、「事実としてリスクはあるけれど、必要以上に怖がりすぎる必要はない」ということを、まずは知っておいてくださいね。
ピルで血栓が起こる「なぜ?」の仕組み
低用量ピルには、2つの女性ホルモンである「卵胞ホルモン(エストロゲン)」と「黄体ホルモン(プロゲステロン)」が配合されています。
このうち、血栓症を引き起こす主な原因となるのが「エストロゲン」です。
エストロゲンが体に取り込まれて肝臓で代謝される際、血液を固めるための「凝固因子」という成分の合成を促す特徴があります。そのため、ピルを服用して体内の女性ホルモンのバランスが変化すると、一時的に血液が少し固まりやすい状態(ドロドロになりやすい流れ)になるのです。これが、ピルで血栓が起こる主な仕組みです。
血栓症のリスクを大幅に高める「体質」と「特徴」
血栓症は誰にでも同じように起こるわけではありません。その方の年齢、生活習慣、あるいはもともとの体質や疾患によって、リスクが大きく高まることがわかっています。医師は診察の際、これらの特徴を慎重に確認し、安全にピルを処方できるかを判断しています。
- タバコを吸う習慣がある方
- 肥満体質の方(BMIが高い方)
- 過去に血栓症を起こしたことがある方、または家族にいる方
- 高血圧や糖尿病などの疾患がある方
- 年齢が40歳以上の方
- 激しい片頭痛を伴う方
- 手術や病気などで長期間寝たきりになる予定がある方
- 関節リウマチなど、体内で強い炎症が起きている方
特に注意が必要なのが「タバコ」と「年齢」の組み合わせです。世界的な医学基準でも、「35歳以上で1日15本以上タバコを吸う女性」は、心筋梗塞や脳梗塞などの疾患リスクが跳ね上がるため、原則として低用量ピルの処方を受けることができません。
また、高血圧や激しい片頭痛を伴う方は「脳梗塞」のリスクを、喫煙習慣や高血圧は「心筋梗塞」のリスクをそれぞれ高めるため、自分自身を守るためにも事前のチェックが欠かせません。
なお、必要に応じて医療機関で「Dダイマー」という項目を含む血液検査を行うことがあります。これは血液の中にどれくらい血栓の成分があるかを調べるものですが、現時点での血栓の有無を確認するためのものであり、「将来の血栓症を完全に予測・予防できる魔法の検診ではない」ということは知っておきましょう。日頃からの体調管理と、正しい服薬の仕組みが何よりも大切です。
最も危険!「ピルの再開」による副作用リスク
さらに、もう一つ大切な知識があります。それは、「ピルを1ヶ月以上お休み(休薬)して、再び飲み始めたとき」に、最も血栓症のリスクが高まるという点です。
「副作用が怖いから」と自己判断で飲んだりやめたりを繰り返すのが一番危険ですので、一度開始したら医師の案内に従って、規則正しく継続して服用する方が安全です。
体からのSOSサイン!初期症状を見逃さない合言葉【ACHES】

万が一、血管に血の塊ができ始めてしまったとき、体は必ず「SOSのサイン」を出してくれます。そのサインを見落とさないために、世界中で使われている共通の合言葉が、頭文字をとった【ACHES(エイチス)】です。
低用量ピルの服用中に、以下のような「いつもと違う激しい症状」が現れた場合は、絶対に我慢をせず、すぐにピルの服用を中止して適切な医療機関を受診してください。
- A(Abdominal pain):激しい腹痛
胃のあたりや下腹部が、これまでに経験したことがないほど激しく痛む。
- C(Chest pain):激しい胸の痛み・急な息苦しさ
突然、胸が締め付けられるように痛む、急に息苦しくなる、または鋭い背中の痛みを感じる。
- H(Headache):激しい頭痛
これまでに経験したことのないような、突然の激しい頭痛。または、頭痛に伴って目の前がチカチカする、視界にギザギザした光が現れるなどの変化がある。
- E(Eye / Speech problems):見え方の異常・呂律のもつれ
急に視野が狭くなる、一部が見えにくくなる、他人の言葉がうまく理解できない、呂律(ろれつ)が回らず言葉がもつれる、意識を失う、けいれんが起こる。
- S stroke(Severe leg pain):ふくらはぎの激しい痛み・足のしびれ
片方の足のふくらはぎが急に赤く腫れる、激しく痛む、触ると熱い、足の強いしびれや関節痛のような痛みが続く。
特に、インターネットでの検索数や関心が高い「ピルを飲んでいて息苦しい」「足のしびれやふくらはぎの痛み、関節痛がある」といった症状は、血栓症の初期症状そのものである可能性があります。「少し疲れているだけかな」「最近運動不足だからかな」と自分だけで判断して放置してしまうのは禁物です。
もし「血栓症かも」と思ったら何科へ行くべき?
もしピルを服用中に「ACHES」に当てはまるような体調の変化が起こったら、一刻も早く医療機関にかかり、エコー検査(超音波検査)や血液検査を受ける必要があります。
- 平日の日中(医療機関が開いている時間帯)
まずはピルを処方してもらった婦人科(オンライン診療の場合はそのサポート窓口)に連絡し、指示を仰ぎましょう。または、お近くの「循環器内科」や「内科」を標榜する医療機関に、「ピル服用中で血栓症の疑いがある症状が出ている」と伝えて受診してください。
- 夜間や休日(医療機関が開いていない時間帯)
近くの救急病院や当番病院へ連絡するか、救急安心センター事業「#7119」へ電話して、すぐに専門家(医師や看護師)に対応できる医療機関を尋ねましょう。
受診の際、最も重要なポイントは、受付や医師に対して「現在、低用量ピルを服用しています」という事実を必ず最初に伝えることです。
若い女性の場合、医師側もまさか血栓症が起きているとは一瞬では思い至らないケースがあり、ピルを飲んでいるという情報がないと、疾患の発見や正しい診断までに余計な時間がかかってしまうリスクがあるためです。
血栓症リスクが高くてピルが飲めない場合の選択肢

「血栓症のリスクがあるからピルは飲めないと言われたけれど、毎月の生理痛や出血量の多さが本当につらい……」と、一人で悩みを抱え込んでいませんか?どうぞ安心してください。低用量ピル以外にも、つらい生理の症状を軽減する素晴らしい治療法があります。
例えば、血栓症の原因となるエストロゲン(卵胞ホルモン)が一切含まれていない「プロゲスチン製剤(ジエノゲストなど)」という内服薬や、子宮の中に小さな器具を装着する「IUD(ミレーナなど)」という選択肢があります。
これらは月経困難症や子宮内膜症に対して保険適用が認められており、血栓症のリスクが高い方でも安全に使用することができます(※避妊目的としてのミレーナ使用などは自由診療となります)。
マイピルのオンライン診療サービスでは、提携医療機関の産婦人科医師がお電話で丁寧にカウンセリングを行い、患者様一人ひとりの体質やご希望に合わせて、安全に進められる最適な治療プランを一緒に考えていきます(※医師の診察結果により、処方を受けられない場合や、ご希望のお薬とは異なるプランをご提案される場合もあります)。
血栓症にまつわるよくある質問(FAQ)
ピルを長く続けるほど血栓症が起こりやすくなるのですか?
いいえ、実はそれは誤解です。低用量ピルを服用していて、最も血栓症を発症しやすいポイントは「服用を開始してから最初の3ヶ月目まで」の期間です。
人間の体はとてもよくできており、3ヶ月を過ぎて半年、1年と長期にわたって継続していくほど、体が女性ホルモンのバランスに慣れていくため、血栓症を起こすリスクはどんどん低くなっていく傾向があります。
一番避けたいのは、自己判断で「怖くなったから一度やめて、またつらくなったから1ヶ月後に再開する」というような、短期間での服用と中断の繰り返しです。継続して飲み続ける方が、体にとってはむしろ安全性が高いのです。
日常生活でできる血栓症の予防対策はありますか?
血栓症を完全にゼロにする魔法の方法はありませんが、日頃のちょっとした工夫でリスクを大きく軽減することができます。
- こまめな水分摂取
体が脱水状態になると血液がドロドロになりやすいため、日常的に少しずつお水や麦茶などで水分を補給しましょう。 - 長時間の同じ姿勢を避ける
デスクワークや長距離の移動時は、1時間に一度は足を動かしたり、軽いストレッチをしてふくらはぎの筋肉を動かし、血液の流れを促してください。 - 禁煙を心がける
タバコは血管を収縮させ、血栓のリスクを最も高める要因ですので、ピルを飲む機会に禁煙をおすすめします。 - 手術前の確認
手術を受ける際、術後に長く安静にする必要がある場合は、手術の4週間前からピルを一度中止しなければならない決まりがあります。入院や手術が決まった際は、必ず「ピルを飲んでいる」と執刀医に伝えてください。
万が一、血栓症になってしまったらどんな治療をしますか?
基本的には、血管にできてしまった血栓を溶かすための「抗凝固療法(内服薬による治療)」がメインの流れとなります。
血液をサラサラにする効果のある内服薬を一定期間服用し、定期的に超音波検査(エコー)や血液検査の数値をチェックしながら、血栓が綺麗に溶けたかどうかを確認していきます。早期に正しい治療を行えば、過度に恐れる必要のある病気ではありません。
まとめ
今回は、低用量ピルの副作用である「血栓症」について、そのリスクの真実や予防策、初期症状のサインを徹底解説しました。
血栓症は発症すると重篤になる疾患ではありますが、その発症頻度はごくわずかであり、正しく理解していれば必要以上に心配しすぎる必要はありません。大切なのは、自分の体質や生活習慣を医師に正しく伝え、体からのSOSサインである「ACHES」を知識として持っておくことです。
オンラインピル処方サービスの「マイピル」では、すべての患者様に安心してピルを服用していただけるよう、独自の利用規約に基づき、トレーニングを積んだ提携医療機関の産婦人科医が直接お電話にて丁寧な診療を行います。スマホだけで予約から診察まで完結し、お薬は最短当日に発送される仕組みを整えています(※受付時間や配送地域によって異なります)。
ピルに関するどんな小さな不安や疑問でも、お一人で悩まず、どうぞお気軽にマイピルのオンライン診療サービスを通じて、提携医療機関の医師にご相談くださいね。あなたの健康で快適な毎日を、私たちは全力でサポートいたします。







