私の生理痛は大丈夫?生理痛の重さレベルをチェックしよう
ホルモンバランスの乱れは、生理痛の悪化や生理不順、無月経など、女性の健康やライフスタイルに大きな悪影響をもたらします。とはいえ、忙しい現代生活を送っていると、自分自身の健康状態に気づけないことも少なくないでしょう。
ホルモンバランスの乱れを知るには、最近の健康状態を確認する必要があります。今回の記事ではホルモンバランスの乱れのチェック方法について解説します。
ホルモンバランスの乱れのチェックリスト
ホルモンバランスの乱れは、身体面だけでなく、精神面や美容面にもサインとして現れます。以下の項目にいくつ当てはまるか、セルフチェックしてみましょう。
身体的な不調
まずは生理周期や体の痛み、日頃の体調を確認します。
- 生理周期がバラバラで、いつ来るか予測できない(生理不順)
- 生理が来ない月がある、または2〜3か月以上来ていない(無月経)
- 生理痛がひどく、鎮痛剤が手放せない、寝込んでしまう
- 生理前になると頭痛、腹痛、腰痛が悪化する
- 慢性的な肩こりや頭痛があり、マッサージをしても改善しない
- 手足が冷えやすく、夏でも寒さを感じることがある
- 寝ても疲れが取れず、体が重だるい日が続く
- のぼせやほてり、急な発汗(ホットフラッシュ)がある
これらの身体的な不調は、女性ホルモンの分泌量が不安定になることで自律神経が影響を受け、引き起こされるケースが多くあります。
精神的な不調
心の状態もホルモンバランスと深く関係しています。
- 些細なことでイライラし、感情をコントロールできない
- 理由もなく不安感に襲われたり、悲しくなったりする
- 以前は楽しめていた趣味や仕事に対してやる気が出ない
- 集中力が続かず、仕事や家事のミスが増えた
- 夜なかなか寝付けない、または夜中に何度も目が覚める(不眠)
生理前の「黄体期」には、プロゲステロン(黄体ホルモン)の影響で精神的に不安定になりやすい傾向があります。生理前に決まってメンタルが落ち込む場合は、PMDD(月経前不快気分障害)の可能性も考えられます。
美容面での不調
肌や髪の状態は、今のホルモン状態を映す鏡のようなものです。
- 生理前になると顎や口周りにニキビ・吹き出物ができる
- 肌が乾燥しやすく、化粧ノリが悪い
- 髪の毛のパサつきや抜け毛、薄毛が気になるようになった
- 顔や足のむくみがひどく、夕方になると靴がきつい
- 食欲が止まらず体重が増えた、または急に痩せにくくなった
「エストロゲン(卵胞ホルモン)」はコラーゲンの生成を助け、肌や髪の潤いを保つ働きがあります。このホルモンが減少したりバランスを崩したりすると、美容面でのトラブルが顕著になります。
チェック後の結果
合計でいくつの項目に当てはまりましたか? 当てはまった数によって、現在のあなたのホルモンバランスの状態と、おすすめの対策が見えてきます。
【0〜3個の方】今は「安定」していますが油断は禁物です
現在のところ、ホルモンバランスは比較的安定していると言えそうです。しかし、女性の体はとてもデリケート。季節の変わり目やちょっとした忙しさで、すぐにバランスを崩してしまう可能性があります。 今の調子を維持するために、規則正しい生活や体を冷やさない習慣を続けましょう。「生理痛が少し気になる」「ニキビができ始めた」など、小さな変化を感じたら早めのケアが大切です。
【4〜9個の方】ホルモンバランスの「乱れ注意報」が出ています
心身の不調は、ホルモンバランスの乱れが原因である可能性が高い状態です。「疲れているだけ」「性格の問題」と我慢していませんか? このレベルの方は、生活習慣の改善だけでは症状が良くならないことも多いです。特に生理痛やPMS(イライラ・落ち込み)がある場合は、低用量ピルなどでホルモンの波を整えることで、生活の質(QOL)が改善する可能性があります。一度、医師に相談してみることをおすすめします。
【10個以上の方】今すぐケアが必要な「赤信号」の状態です
ホルモンバランスが大きく乱れ、心と体が悲鳴を上げている状態です。これ以上、自分ひとりで頑張りすぎるのは危険です。 仕事や日常生活に支障が出ている恐れがありますので、治療が必要なレベルと考えられます。「辛いのが当たり前」ではありません。我慢せず、できるだけ早く産婦人科を受診するか、オンライン診療で専門医のアドバイスを受けてください。
なぜホルモンバランスは乱れるの?主な原因とメカニズム
チェックリストで当てはまる項目が多かった方は、なぜ乱れてしまうのか、その原因を知ることから始めましょう。
2つの女性ホルモンの変動
女性の体は、主に2つのホルモンの影響を受けています。

- エストロゲン(卵胞ホルモン)
「美のホルモン」とも呼ばれ、女性らしい体つきを作ったり、肌や髪の潤いを守ったりします。排卵前に分泌のピークを迎えます。
- プロゲステロン(黄体ホルモン)
「母のホルモン」とも呼ばれ、妊娠を維持するために水分や栄養を体に溜め込む働きがあります。むくみやイライラの原因になりやすいホルモンです。
通常、これらは生理周期に合わせて波のように増減を繰り返します。しかし、この波が急激すぎたり、あるいは分泌自体がうまくいかなくなったりすると、心身に不調をきたします。これが「ホルモンバランスの乱れ」の正体です。
生理周期の「4つの時期」とメンタル変化の詳細

女性の1ヶ月は、ホルモンの変動によって大きく4つのシーズンに分けられます。
- 月経期(生理中):リセット期
エストロゲンとプロゲステロンが共に減少し、体温が下がります。血行が悪くなりやすく、腹痛や頭痛が起きやすい時期です。心も体も敏感になっているため、無理は禁物です。
- 卵胞期(生理後〜排卵前):キラキラ期
エストロゲンの分泌が増え、心身ともに好調になる時期です。代謝が上がり、肌の調子も良く、新しいことにチャレンジする意欲も湧いてきます。ダイエットの効果が出やすいのもこの時期です。
- 排卵期(排卵前後):転換期
ホルモンの分泌がピークに達し、その後急激に変化します。この急変動により、排卵痛を感じたり、一時的に情緒不安定になったりすることがあります。妊娠を希望する場合には最も重要なタイミングです。
- 黄体期(排卵後〜生理前):ゆらぎ期
プロゲステロンが増加し、身体が水分や栄養を溜め込もうとします。むくみや便秘、眠気が強くなるほか、イライラや落ち込みといったPMS症状が出やすくなります。「今はそういう時期」と割り切り、自分を甘やかすことが大切です。
医療の力で確実に整える「低用量ピル」という選択肢
セルフケアだけでは改善しない場合や、生理痛・PMS(月経前症候群)が辛い場合は、我慢せずに医療機関を頼りましょう。ホルモンバランスを整えるための有効な手段として「低用量ピル」の服用があります。
低用量ピルがホルモンバランスを整える仕組み
低用量ピルには、エストロゲンとプロゲステロンの2種類のホルモンがバランスよく配合されています。
毎日1錠服用することで、体内のホルモン量が一定の低用量レベルで安定します。これにより、脳は「十分なホルモンがある」と認識し、排卵をストップさせます。結果として、毎月の激しいホルモンの波(増減)が抑えられ、常に穏やかな「凪」の状態を作ることができるのです。
ピル服用で期待できる効果

ホルモンバランスの波がなくなることで、以下のようなメリットがあります。
生理痛(月経困難症)の改善:子宮内膜が厚くならないため、生理痛の元となる物質の産生が抑えられます。
- PMS(イライラ・落ち込み)の軽減:生理前の急激なホルモン変化がなくなるため、精神状態が安定します。
- 生理不順の改善:決まったサイクルで出血(消退出血)が起こるため、予定が立てやすくなります。
- 肌荒れの改善:ニキビの原因となる男性ホルモンの過剰な働きを抑え、肌の調子を整えます。
副作用と安全性について
「ピルは副作用が怖い」というイメージをお持ちの方もいるかもしれません。確かに、飲み始めの1〜2ヶ月は、体がホルモンに慣れる過程で「吐き気」「胸の張り」「不正出血」などが起こることがありますが、多くの場合は飲み続けることで治まります。
重大な副作用として「血栓症(血管の中で血が固まる病気)」がありますが、その発症頻度は非常に稀です。厚生労働省や海外のデータによると、静脈血栓症の発症リスクは以下のようになっています(年間1万人あたり)。
- ピルを服用していない人:1〜5人
- ピルを服用している人:3〜9人
- 妊婦中・産後:5〜65人
このように、ピルによるリスクは、妊娠中や産後よりも低いことがわかります。もちろん、喫煙者や肥満の方、35歳以上で1日15本以上喫煙される方はリスクが高まるため服用できませんが、医師の診察のもとで正しく服用すれば、安全性の高いお薬です。
よくある質問(FAQ)
Q. ピルを飲むと太りますか?
現在主流の低用量ピルでは、薬の影響で太ることはほとんどありません。ただし、ピルに含まれる黄体ホルモンの作用で一時的に食欲が増したり、むくみが出たりして体重が増えたように感じることがあります。これらは生活習慣に気をつければコントロール可能です。
Q. 将来の妊娠に影響はありませんか?
ありません。ピルの服用を中止すれば、通常1〜3ヶ月程度で自然な排卵と生理周期が戻り、妊娠可能な状態になります。むしろ、服用中に子宮や卵巣を休ませておくことで、子宮内膜症などの病気を防ぎ、将来の妊娠力を守ることにつながると言われています。
Q. 飲み忘れたらどうすればいいですか?
1日(1錠)飲み忘れた場合は、気づいた時点で飲み忘れた分を服用し、その日の分も通常通りの時間に服用してください。2日以上連続して飲み忘れた場合は、避妊効果が低下したり、不正出血が起きたりする可能性があるため、医師に相談するか、そのシートの使用を中止して生理を待つなどの対応が必要になります。
まとめ
「婦人科に行く時間がない」「内診台に乗るのが怖い」「知り合いに見られたくない」
そんな理由で受診をためらっている方には、オンライン診療がおすすめです。マイピルオンラインでは、スマホやPCからLINEを使って、産婦人科医の診察を受けることができます。
ホルモンバランスの乱れは、放置すると将来の不妊や婦人科系疾患のリスクにもつながりかねません。「これくらいで病院なんて」と思わず、まずは気軽なオンライン診療で相談してみてはいかがでしょうか。
参考文献
- 公益社団法人 日本産科婦人科学会 低用量経口避妊薬、低用量エストロゲン・プロゲストーゲン配合剤ガイドライン(案)
https://www.jsog.or.jp/news/pdf/CQ30-31.pdf
- CDC(米国疾病予防管理センター)米国の避妊薬使用に関する医学的適格基準(2024年)
https://www.cdc.gov/contraception/hcp/usmec/index.html
- 厚生労働省 月経困難症治療剤ヤーズ配合錠による血栓症について
https://www.mhlw.go.jp/www1/kinkyu/iyaku_j/iyaku_j/anzenseijyouhou/310_1.pdf
- 公益社団法人 日本産科婦人科学会 月経前症候群(premenstrual syndrome : PMS)
https://www.jsog.or.jp/citizen/5716/
- 公益社団法人 日本産科婦人科医会 (1)月経困難症
https://www.jaog.or.jp/note/%EF%BC%881%EF%BC%89%E6%9C%88%E7%B5%8C%E5%9B%B0%E9%9B%A3%E7%97%87/







