低用量ピルの副作用一覧!吐き気や太る原因とは

監修者:産婦人科医 原野 尚美

最終更新日

低用量ピルの副作用一覧

「低用量ピルを飲んでみたいけれど、副作用が怖い」
「飲み始めたけれど、吐き気がして辛い」

生理痛の緩和や高い避妊効果など、女性の生活をサポートしてくれる低用量ピルですが、ホルモンバランスを調整するお薬である以上、体調の変化はつきものです。特に飲み始めの時期は、体が薬に慣れようとして一時的な不調が出ることがあります。

しかし、多くの副作用は時間の経過とともに落ち着いていくケースが多いと言われています。また、正しい知識を持っていれば、症状を軽減したり、危険なサインを察知したりする手助けになります。

この記事では、低用量ピルの副作用について、起こりやすい症状や対処法、注意すべき「血栓症」のリスクについて、医師監修のもと詳しく解説します。

低用量ピルの副作用はなぜ起こる?

低用量ピルの副作用はなぜ起こる?

低用量ピルには、女性ホルモンである「卵胞ホルモン(エストロゲン)」と「黄体ホルモン(プロゲステロン)」が含まれています。これを服用することで、脳が「今は排卵後の状態だ」と認識し、排卵を抑制したり、子宮内膜の増殖を抑えたりします。

この人工的なホルモン環境の変化に対し、体が慣れるまでの期間に起こる反応が「副作用(マイナートラブル)」です。多くの副作用は、体が新しいホルモンバランスに適応するまでの期間に見られるもので、服用を続けるうちに気にならなくなっていくことが一般的です。

目次

【初期】飲み始めに多い副作用と期間

ピルの服用開始から1~3ヶ月以内に現れやすい副作用(マイナートラブル)には、主に以下のようなものがあります。これらは比較的よく見られる症状であり、体が慣れる過程で起こりうる反応です。

主な症状特徴と原因
吐き気・ムカムカ妊娠初期のような症状が出ることがあります。エストロゲンの作用によるものと考えられています。
不正出血生理以外のタイミングで少量の出血が続くことがあります。子宮内膜が薄く保たれる過程で起こりやすい現象です。
乳房の張り・痛み生理前のように胸が張ることがあります。ホルモンバランスの変化による水分貯留などが原因と言われています。
頭痛ホルモンの変動により、軽い頭痛を感じることがあります。
むくみ体が水分を溜め込みやすくなるため、足や顔がむくむことがあります。

いつまで続くの?

これらのマイナートラブルは、一般的に服用開始から1~2ヶ月、長くても3ヶ月程度で落ち着くケースが多いようです。

日本産科婦人科学会のガイドラインや多くの臨床データでも、3周期(3シート)目までには不正出血や吐き気などの発現頻度が減少傾向にあることが示されています。最初の1ヶ月に症状を感じやすいですが、辛い場合は無理をせず、医師に相談しながら継続を検討することが大切です

副作用を軽減するための対処法

副作用を和らげる、毎日のヒント

「我慢するしかない」と思いがちですが、飲み方の工夫や生活習慣で症状を和らげることができる場合があります。

吐き気への対策

吐き気が強く出る場合、ピルを飲む時間を「夕食後」や「就寝前」に設定することをおすすめします。寝ている間に血中のホルモン濃度がピークを迎えるため、起きている時間の不快感を減らせる可能性があります。

また、空腹時に服用すると胃への刺激が強くなることがあるため、胃に何か入っている状態で服用するのも一つの方法です。それでも辛い場合は、医師に相談して吐き気止めを処方してもらうことも可能です。

むくみへの対策

ピルに含まれる黄体ホルモンには水分を体内に溜め込む作用があるため、塩分の摂りすぎには注意が必要です。カリウムを多く含む食材(バナナ、アボカドなど)を積極的に摂ったり、マッサージや着圧ソックスを活用したりして対策しましょう。

不正出血への対策

飲み忘れがあると、ホルモンバランスが崩れて不正出血が起こりやすくなります。「毎日同じ時間に飲む」ことを徹底してください。もし出血があっても、鮮血で大量でなければ、そのまま服用を続けて問題ないことが多いですが、もし生理2日目のような出血が長く続く場合は、医師に相談してください。

【重要】注意すべき副作用「血栓症」について

副作用「血栓症」

低用量ピルの副作用の中で確率は低いものの、最も注意が必要なのが「静脈血栓塞栓症(VTE)」いわゆる血栓症です。

血栓症とは?

血液の一部が固まり、血管を詰まらせてしまう病気です。ピルに含まれるエストロゲンには血液を固まりやすくする作用がわずかにあるため、服用していない人に比べてリスクが少し上がるとされています。

ただし、そのリスクは妊娠中や産後の方がはるかに高く、ピルによるリスク上昇はわずかと言われています。「ピルを飲むと必ず血栓ができる」わけではありませんので、過度に恐れる必要はありませんが、リスクがあることは理解しておきましょう。

静脈血栓症の発症リスク(年間1万人あたり)

対象発症者数(目安)
ピルを服用していない女性1~5人
低用量ピル服用者3~9人
妊婦5~20人
産後12週以内の女性40~65人

早期発見のサイン「ACHES」

早期発見のサイン「ACHES」

血栓症は早期に発見すれば治療可能です。以下の症状(頭文字をとってACHESと呼ばれます)が現れた場合は、すぐにピルの服用を中止し、救急外来などの医療機関を受診してください。

  • Abdominal pain:激しい腹痛
  • Chest pain:激しい胸の痛み、息苦しさ
  • Headache:激しい頭痛
  • Eye problems:視界がぼやける、見えにくい
  • Severe leg pain:ふくらはぎの痛み・むくみ・赤み(特に片足だけ)

ピルが処方できないケース(禁忌)

副作用のリスク、特に血栓症のリスクが高まるため、以下に該当する方は低用量ピルを服用できない(または慎重投与)とされています。オンライン診療でも必ず正直に申告してください。

35歳以上で1日15本以上喫煙する方

タバコとピルの相性は良くありません。喫煙は血管を収縮させ、血栓のリスクを高める要因となります。CDC(米国疾病予防管理センター)の基準でも、35歳以上で1日15本以上の喫煙者は「原則使用不可(カテゴリー4)」に分類されています。ピルを服用する場合は、これを機に禁煙することが強く推奨されます。

前兆のある片頭痛持ちの方

「目の前がチカチカする」「視野が欠ける」といった前兆(閃輝暗点)を伴う片頭痛がある方は、脳卒中のリスクが高まる可能性があるためピルを服用できません。

その他

  • 高度な肥満の方(BMI30以上など、基準はクリニックによる)
  • 高血圧の方
  • 乳がんなどのホルモン依存性のがんの疑いがある方
  • 妊娠中、授乳中(産後6ヶ月未満)の方
  • 50歳以上の方

精神面への影響は?(うつ・イライラ)

「ピルを飲むと太る」「うつになる」といった噂を耳にすることがあるかもしれません。

精神的な副作用については、医学的にも議論が続いていますが、最近の研究では「ピルが直接うつを引き起こす明確な証拠はない」という見解が多くなっています。むしろ、PMS(月経前症候群)やPMDD(月経前不快気分障害)による精神的な落ち込みが、ピルによってホルモンの波がフラットになることで改善するケースも報告されています。

ただし、個人の体質により「気分が落ち込む」と感じることもゼロではありません。生活に支障が出る場合は、ピルの種類を変更することで改善することもあるため、医師に相談してみましょう。

よくある質問

Q. 飲み始めてから肌荒れ・ニキビが悪化しました。

飲み始めの一時的なホルモンバランスの変化で、稀にニキビが増える方がいます。しかし、長期的には男性ホルモンの働きを抑えるため、肌の調子が整うなどの副次的なメリットを感じる方もいます。3ヶ月程度様子を見て、改善しない場合はピルの種類を変える相談をしてください。

Q. 将来の妊娠に影響はありませんか?

「ピルを飲むと不妊になる」というのは誤解です。ピルの服用を中止すれば、通常1~3ヶ月程度で排卵と月経が再開し、妊娠可能な状態に戻るとされています。むしろ、不妊の原因となりうる子宮内膜症などの治療・進行抑制に役立つため、結果として将来の妊娠に向けた備えにつながると考えられています。

Q. がんのリスクが上がると聞きましたが?

乳がんや子宮頸がんのリスクがごくわずかに上がる可能性があるという研究報告があります。しかし一方で、海外の研究等では、卵巣がん、子宮体がん、大腸がんのリスク低下に関連するという報告もなされています。

定期的に検診(乳がん検診・子宮頸がん検診)を受けることで、リスクを管理しながら、ピルのメリットを享受することができます。

Q. ピルと飲み合わせの悪い薬はありますか?

はい、あります。例えば、一部の抗生物質、抗てんかん薬、抗結核薬、健康食品のセント・ジョーンズ・ワート(セイヨウオトギリソウ)などは、ピルの効果を弱めてしまう可能性があります。処方を受ける際や、他の病院にかかる際は、必ずお薬手帳を提示して確認しましょう。

まとめ

低用量ピルの副作用は、飲み始めの「慣らし期間」に起こるものが大半と言われています。多くの場合、1~3ヶ月で体は順応し、その後は生理痛の軽減やPMSの改善といった大きなメリットを感じられるようになる方が多いです。

しかし、足の激しい痛みや息苦しさなど「血栓症」の兆候には注意が必要です。また、副作用の感じ方には個人差があります。「みんな我慢しているから」と無理をする必要はありません。

マイピルでは、医師が診察の上、お一人おひとりに合わせたお薬を処方します。

オンライン診療などを活用して、不安なことや辛い症状があれば、いつでも医師に相談できる環境を整えておくことが大切です。あなたに合ったピルとの付き合い方を見つけて、より快適な毎日を送りましょう。

参考文献

  1. 低用量経口避妊薬、低用量エストロゲン・プロゲストーゲン配合剤ガイドライン(案)
  2. 月経困難症治療剤ヤーズ配合錠による 血栓症について
  3. VTEリスク因子比較、喫煙・年齢によるリスク評価(MEC)
  4. 月経前症候群(premenstrual syndrome : PMS)
  5. Contemporary Hormonal Contraception and the Risk of Breast Cancer (Mørch et al., 2017)
産婦人科専門医 原野尚美

監修者
産婦人科専門医原野 尚美

いかがでしたでしょうか? マイピルでは産婦人科の医師が、 ピルに関するどんな小さな疑問や不安でも、 直接お電話でお答えいたします。

ピルの処方をお考えの方へ

マイピルのオンライン診療では、
自宅や外出先でも医師からの診療を受けられます。
クリニックに行く時間が無い方も、是非活用してみましょう。

スマホで完結し、即発送
目的に応じたピル処方

低用量ピル・アフターピル・生理移動ピル
スマホを操作する女性

マイピルは必ず、産婦人科の医師が診療と処方を担当しますので、
安心してご相談いただけます。
是非、オンライン診療をご予約ください。

今すぐアプリで診療予約

アプリ限定のオトク情報も!

AppStoreからダウンロード
GooglePlayで手に入れよう

診療の空き状況が確認出来る
カレンダーはこちら

診療予約カレンダー

よくある質問・お問い合わせ窓口

よく頂くお問い合わせ内容をQ&Aでお答えしております。
Q&Aをよくご確認頂き、
不明点など御座いましたら
お問い合わせフォームより御連絡ください。