生理がなかなか終わらない!?出血が長引く過長月経とは
PMSじゃないけどキツイ!生理前の不快な症状、PMDDとは?
監修者:産婦人科医 原野尚美
最終更新日
生理前になると、さまざまな症状に悩まされることがあります。イライラする、気分が落ち込みやすい、下腹部が痛いなどの症状を経験したことがある方は多いのではないでしょうか。一般に、これらの症状はPMS(月経前症候群)と呼ばれています。
PMSと似たものとして知られているのがPMDD(月経前不快気分障害)です。PMDDになると、社会活動や学校生活に支障をきたすこともあります。今回は、PMDDがどのような病気なのか、どうやって治療していくのかなどについて詳しく見ていきましょう。
目次
- 1.PMDD(月経前不快気分障害)とは
- 2.PMDD(月経前不快気分障害)の診断基準
- 3.PMDD(月経前不快気分障害)の治療方法
- 4.PMDD(月経前不快気分障害)を治療できる市販薬はある?
- 5.PMDD(月経前不快気分障害)を予防する方法
- 6.PMDD(月経前不快気分障害)が気になるときは婦人科や心療内科を受診しよう
- 7.まとめ
PMDD(月経前不快気分障害)とは
PMDDは、幅広い年齢の方で見られることが分かっています。欧米と同じ診断基準を用いた研究では、日本でPMDDを発症している方の割合は1.2%と報告されており、際立って発症頻度が高いわけではありません。
しかし、生理が近づく度にPMDDの症状に悩まされ、日常生活に影響が出ている方がいるのも実情です。PMDDという名称がついたのは1994年と比較的最近のことで、2013年には「抑うつ症候群」の一つとして捉えられるようになっています。
PMDDで見られる症状
PMDDは、PMSで見られる症状のうちとくに精神症状が強く出ているもののことです。次のような症状がよく見られます。
- 抑うつ気分
- 不安
- 緊張
- 情緒不安定
- 怒り
- イライラ
PMDDは、PMSと同様に生理が始まる7~10日ほど前から症状があらわれ始めます。生理が終わると症状も落ち着くことがほとんどです。
PMDDの原因
PMDDを発症する原因は、まだ明らかにされていません。今のところ、生理周期に伴って起こる女性ホルモンの変動が関わっているのではと考えられています。
女性ホルモンのほかに、セロトニンもPMDDと関係があるといわれている物質の一つです。PMDDを発症している方ではセロトニンの分泌量が減っており、これが精神症状を引き起こしているといわれています。
PMSとPMDDの違い
PMSは、生理が始まる前に3~10日ほど続く身体的症状や精神的症状のことです。それぞれ、次のような症状が知られています。
〈身体的症状〉
- 腹痛
- 頭痛
- 腰痛
- むくみ
- お腹の張り
- 乳房の張り
- のぼせ
- 食欲不振
- 過食
- めまい
- 倦怠感
〈精神的症状〉
- 情緒不安定
- イライラ
- 抑うつ
- 不安
- 眠気
- 集中力の低下
- 睡眠障害
PMDDは、このうち精神的症状が強く出ており、日常生活に影響が出ているものです。
PMDD(月経前不快気分障害)の診断基準
PMDDの診断基準は、「産婦人科診療ガイドライン―婦人科外来編2020」において以下のように定められています。
A.
ほとんどの月経周期において、月経開始前最終週に少なくとも5つの症状が認められ、月経開始数日以内に軽快し始め、月経終了後の週には最小限になるか消失する。
B.
以下の症状のうち、1つまたはそれ以上が存在する。
- 著しい感情の不安定性
- 著しいいらただしさ、怒り、または対人関係の摩擦の増加
- 著しい抑うつ気分、絶望感、または自己批判的思考
- 著しい不安、緊張および/または“高ぶっている”とか“いらだっている”という感覚
C.
さらに以下の症状のうち、1つまたはそれ以上が存在し、上記基準Bの症状と合わせると症状が5つ以上になる。
- 通常の活動における趣味の減退
- 集中困難の自覚
- 倦怠感、易疲労感、または気力の著しい欠如
- 食欲の著しい変化、過食、または特定の食物への渇望
- 過眠または不眠
- 圧倒される、または制御不能という感じ
- ほかの身体症状、たとえば乳房の圧痛または腫脹、関節痛または筋肉痛、“膨らんでいる”感覚、体重増加
D.
症状は臨床的に意味のある苦痛をもたらしたり、仕事、学校、通常の社会活動または他者との関係を妨げたりする
E.
この障害は、ほかの障害またはパーソナリティ障害の単なる症状の増悪ではない
F.
基準Aは2回以上の症状周期にわたり、全方視的に行われる毎日の評価により確認される
※基準A~Cの症状は、先行する1年間のほとんどの月経周期で満たされていなければならない。
PMDD(月経前不快気分障害)の治療方法
毎月なるものだからといって、PMDDの症状を我慢する必要はありません。いくつか治療方法があるので、自分に合った治療を見つけてみましょう。
生活習慣の改善
食生活の見直しを行い、適度な運動をすることでPMDDの症状を改善できる可能性があります。規則正しく食事を摂り、精神的にも体力的にも健康な状態を維持しましょう。
対症療法
症状がある程度軽い場合は、対症療法といって一時的に症状をやわらげる薬を使用します。たとえばむくみが気になる方は利尿剤、頭痛や下腹部痛が気になる方には鎮痛剤などを使うことが一般的です。
抗うつ薬
中等度以上の症状が出ている場合は、抗うつ薬を用います。欧米では、SSRIと呼ばれる抗うつ薬がPMDDの第一選択薬です。連続して服用を続ける方法と、生理開始前の2週間のみ服用する方法があります。
低用量ピル
低用量ピル(レボノルゲストレル・エストラジオール錠、ドロスピレノン・エチニルエストラジオール錠)がPMDDの改善に有効だといわれています。低用量ピルを服用すると女性ホルモンのバランスが一定に保たれるため、症状が抑えられると考えられています。
GnRHアゴニスト
GnRHアゴニストとは、視床下部ホルモンであるGnRHの誘導体のことです。性腺刺激ホルモンの分泌を抑制し、エストロゲンの分泌量を減らします。卵巣機能を抑制するため、PMDDの症状を改善することが可能です。
漢方薬
人によっては、漢方薬が効くこともあります。漢方薬は、体質に合うものを使用することが大切です。市販で購入できるものもあるので、まずは漢方薬から試してみるのもよいでしょう。
PMDD(月経前不快気分障害)を治療できる市販薬はある?
PMDDの症状や体質によっては、漢方薬が有効なことがあります。ここでは、市販でも購入できる漢方薬をいくつか見ていきましょう。
半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)
落ち込みが強い方に向いている漢方薬です。気(生きるために必要なエネルギー)のめぐりを良くし、症状を改善します。
抑肝散(よくかんさん)
イライラの症状がつらい方向けの漢方薬です。感情のコントロールをサポートし、気分の高ぶりを鎮めます。
抑肝散加陳皮半夏(よくかんさんかちんぴはんげ)
抑肝散と同様に、イライラしやすい方向けの漢方薬です。抑肝散に陳皮と半夏を加えてあります。自律神経を整え、イライラを抑えるのに有効です。
加味逍遙散(かみしょうようさん)
気分が落ち込み、イライラしやすい方向けの漢方薬です。自律神経を調節し、症状を改善します。
柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)
不安が強く、不眠の症状がある方向けの漢方薬です。気を全身にめぐらせ、体にこもった熱を冷ますことで症状を落ち着かせます。
PMDD(月経前不快気分障害)を予防する方法
PMDDを予防するためには、次のようなことを意識すると効果的だといわれています。
- 基礎体温と症状を記録する
- 生活リズムを整える
- カフェインを摂りすぎない
- バランスの良い食事を心がける
- 適度な運動を行う
PMDD(月経前不快気分障害)が気になるときは婦人科や心療内科を受診しよう
PMDDは我慢しなければならないものではありません。症状がつらいと感じるときは、婦人科や心療内科などを受診しましょう。
身体的症状がつらいときは婦人科、精神的症状がつらいときは心療内科を受診するとよいでしょう。心療内科に通うのはハードルが高いと感じるようであれば、婦人科でも構いません。
まとめ
PMDDとは、PMSのうちとくに精神症状が強く日常生活に支障が出ているもののことです。生理前になると気分が落ち込んだり不安や緊張感が高まってしまったりする方は、PMDDの可能性があるかもしれません。
PMDDが気になる方は、婦人科や心療内科を受診して治療を始めましょう。自分に合う治療法が見つかると、毎日を快適に過ごせるようになります。
監修者
産婦人科専門医原野 尚美
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