避妊リング(ミレーナ)とは?効果やメリット・デメリットを解説

監修者:産婦人科医 原野 尚美

最終更新日

避妊リング(ミレーナ)とは?効果やメリット・デメリットを解説

「避妊リングってどういうものなの?」避妊効果が高いと聞いても、副作用や費用、安全性が気になってなかなか一歩を踏み出せない方も多いのではないでしょうか。

避妊リング(ミレーナ)は、長期間にわたって避妊効果が続き、さらに月経の悩みを軽減できる点でも注目されています。

本記事では、避妊リングの仕組みや期待できる効果、メリット・デメリット、費用や保険適用の有無まで分かりやすく解説します。

避妊リング(ミレーナ)とは

避妊リングとは、子宮内に挿入することで長期間にわたって避妊効果を発揮する医療機器です。

ホルモンを含むT字型のプラスチック製の器具で、産婦人科などで医師が挿入します。避妊以外にも月経困難症や月経過多の治療にも使われることがあります。

避妊リングの有効成分と仕組み

避妊リングであるミレーナに使われている有効成分は、レボノルゲストレルという黄体ホルモンです。このホルモンが子宮内に一定量ずつ放出され、避妊効果を発揮します。

子宮内膜が厚くなるのを抑えたり、受精卵が着床しづらい環境を作ったり、さらに子宮頸管粘液の粘性を高めて精子の通過を阻止したりする働きがあります。

避妊リングの使用方法

医師に避妊リングを子宮内に装着してもらうだけで、避妊効果が得られます。月経中もしくは月経が終わって1週間以内に装着することが一般的です。経産婦の場合は子宮口が開いているため、大きな痛みを感じることはほとんどありません。

出産経験がない方は、子宮頸管の拡張が必要になる場合があり、人によっては痛みを生じる可能性があります。

目次

避妊リング(ミレーナ)に期待できる効果

避妊リングでは、避妊効果の他に以下の2つの効果も期待できます。

  • 月経過多の改善
  • 月経困難症の改善

そのため、避妊リングは治療目的で使われることも少なくありません。

避妊効果

避妊リングは、子宮内に装着することで持続的に黄体ホルモンを放出し、妊娠を防ぎます。以下のような作用により、避妊効果が得られます。

  • 排卵を抑制する
  • 子宮内膜を変化させて着床しづらくする
  • 子宮頸管粘液の粘性を高めて精子の通過を阻止する

これらの仕組みにより、避妊リングは約5年間という長期間にわたって避妊効果を発揮します。

国内第Ⅲ相試験(1年間)では、妊娠が認められたのは482例中2例でした。このことから、避妊リングには高い避妊効果があるといえます。

月経過多の改善

避妊リングは、避妊効果だけでなく月経過多の改善にも用いることが可能です。有効成分であるレボノルゲストレルは、子宮内膜が厚くなるのを抑える作用があり、結果として月経時の出血量を減少させる効果が期待できます。臨床的にも避妊リングの使用で出血量が減るケースが多く見られます。

月経過多によって日常生活に支障を感じている方や、毎月の出血に悩まされている方にとって、有効な選択肢となるでしょう。月経過多の治療が目的の場合、保険適用となります。

月経困難症の改善

月経困難症とは、月経に伴って強い腹痛や腰痛、吐き気などの症状があらわれる状態のことです。避妊リングは、この月経困難症の治療にも用いられます。子宮内膜の増殖を抑える作用により、月経時の子宮の収縮や炎症反応が軽減され、不快な症状をやわらげるのです。

低用量ピルでも月経困難症の治療はできますが、毎日の服用が不要である点が利便性の高さにつながっています。月経困難症の治療を目的とする場合も、保険適用です。

避妊リング(ミレーナ)のメリット

避妊リングは、避妊効果が長期間持続するだけでなく、ライフスタイルや将来の妊娠計画に応じて柔軟に使用できる点が大きな魅力です。

毎日服用する必要がある低用量ピルとは異なり、一度の挿入で避妊を継続できるため、手間や飲み忘れの心配がありません。また、医師の管理のもとで使用するため、安全性の面でも信頼性が高いといえます。

1回入れると最長5年効果が持続する

避妊リングの最大の特徴は、1回の挿入で最長5年間にわたり避妊効果が持続することです。有効成分であるレボノルゲストレルが子宮内で継続的に放出されるため、日常生活の中で特別な意識をすることなく、避妊が行えます。

避妊効果の安定性も高く、経口避妊薬と比較しても失敗率が低いことが特徴です。日々の服薬が負担となる方や、仕事や学校などで多忙な方にとって、大きなメリットとなるでしょう。

妊娠を希望するときは取り外せる

避妊リングは、必要がなくなった場合には医師の手で簡単に取り外すことが可能です。取り外した後は、2カ月以内に月経が再開し、多くの方がすぐ妊娠できる状態に戻るとされています。このため、「今は妊娠を望まないけど、将来的には出産を考えている」という方にも適した避妊方法です。

1年以上使用すると低用量ピルより安く済む

避妊目的で避妊リングを使用する場合、初期費用が4~10万円ほどかかります。高めに感じられるかもしれませんが、1年以上使用すると低用量ピルを毎日服用するときと比べて安く済むことが多いでしょう。

月経困難症や月経過多などの治療目的で使用する場合には、医療保険が適用となるため、さらに費用負担を軽減できます。このように、長期的な視点で見ると、避妊リングはコストパフォーマンスにも優れた選択肢となります。

避妊リング(ミレーナ)のデメリット

避妊リングは、高い避妊効果や月経困難症の改善など多くの利点がありますが、すべての方に適しているわけではありません。使用には医師による判断が必要であり、定期的な通院も必要です。また、ホルモンを使用する器具であるため、体調に影響が出るケースもあります。

出産経験がない方は入れられないことがある

避妊リングは、子宮内に直接挿入する器具であるため、出産経験のない方には適さないケースがあります。出産経験がない方では、子宮の入口が狭く、挿入時に強い痛みや不快感を生じやすく、医師の判断により避妊リングの装着を勧められない場合もあるのです。

ただし、必ずしも出産経験がある方にしか使用できない場合ではありません。装着できるかどうかは医師が判断するため、まずは相談しましょう。

定期検診を受ける必要がある

避妊リングは一度挿入すれば長期間使用できる便利な避妊方法ですが、安全に使い続けるためには定期的な検診が欠かせません。

装着直後には位置が正しく保たれているかを確認する必要があり、その後も装着の1カ月後、3カ月後、6カ月後、1年後、それ以降は医師の判断で年に1回以上の検診を受ける必要があります。

また前提として、挿入前には、子宮頸がん、体癌、性感染症に感染していないことを確認するための検査が必要です。

副作用が起こることがある

避妊リングでは、以下のような副作用が報告されています。

〈重大な副作用〉

  • 骨盤内炎症性疾患
  • 異所性妊娠
  • 穿孔
  • 卵巣のう胞破裂

〈その他の副作用〉

5%以上5%未満頻度不明
主な副作用月経異常、除去後の出血、卵巣嚢胞、腹痛など浮腫、頭痛、抑うつ、悪心、蕁麻疹、乳房痛、無月経、背部痛、倦怠感など気分の変化、性欲減退、片頭痛、多毛、脱毛、発疹、血圧上昇など

また挿入して1ヶ月間は、不正出血が続く事が多いです。加えて装着後の数日間は出血、下腹部痛、腰痛、帯下等の症状があらわれやすく、その頻度は実際の臨床の現場でも頻繁に見られます。これらの症状について不安を感じる方は、医師へ事前に相談しましょう。

避妊リング(ミレーナ)に関するよくある質問

最後に、避妊リングに関するよくある質問にお答えします。

避妊リングの費用はいくらですか?

避妊リングの費用は、保険適用外(避妊目的の使用)の場合は約4~10万円が相場です。月経困難症や月経過多で使用する場合は保険適用となり、1~2万円程度の費用がかかります。

また自費挿入の場合は、抜去時にも1~2万円程度の料金がかかりますので留意しておきましょう。

避妊リングを入れると生理はなくなりますか?

避妊リングを入れると、生理が完全になくなるわけではありませんが、出血量が減少することがあります。また、20%の女性で無月経が見られると報告されています。

避妊リングは保険適用ですか?

避妊のみを目的としている場合は、保険適用外です。月経困難症や月経過多の治療に用いる場合は保険診療の対象となります。

まとめ

避妊リングは、子宮内に挿入することで最長5年間にわたり避妊効果を発揮する医療機器です。ホルモンの働きによって子宮内膜の変化を促し、受精や着床を防ぐだけでなく、月経過多や月経困難症などの治療にも用いられます。

ただし、出産経験がない方には装着できない可能性があること、定期検診が必要であること、副作用が出る可能性がある点には注意が必要です。

避妊リングの導入を検討している方は、メリットとデメリットをよく理解したうえで、医師と相談しながら自分に合った避妊方法を選びましょう。

産婦人科専門医 原野尚美

監修者
産婦人科専門医原野 尚美

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