避妊パッチ(エブラパッチ)とは?使い方やメリット・デメリット、注意点を解説

監修者:産婦人科医 原野 尚美

最終更新日

避妊パッチ(エブラパッチ)とは?使い方やメリット・デメリット、注意点を解説

避妊パッチ(エブラパッチ)がどのようなものなのかよく分からずに迷っていませんか?
貼るだけで避妊ができるといわれても、「本当に効果があるの?」「副作用はないの?」と不安に感じる方も多いでしょう。

避妊パッチは、高い避妊効果が得られるとされていますが、使用方法やリスクをきちんと理解しておくことが重要です。

この記事では、避妊パッチの仕組みや効果、メリット・デメリットなどについて詳しく解説します。

避妊パッチ(エブラパッチ)とは

避妊パッチとは、皮膚に直接貼ることで排卵を抑制する避妊法の一種です。経口避妊薬と同様にエストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)を含んでいます。

最大の特徴は、経口避妊薬のように毎日服用する必要がなく、週に1回の貼り替えで避妊効果が得られる点です。

避妊パッチの有効成分と仕組み

避妊パッチには、ノルエルゲストロミンとエチニルエストラジオールの2種類の成分が配合されています。これらの成分が皮膚を通じて吸収され、排卵の抑制や子宮頸管粘液の変化、子宮内膜の薄化といった作用を引き起こし、妊娠を防ぎます。

避妊パッチの使用方法

避妊パッチは28日を1サイクルとし、毎週同じ曜日にパッチを新しく貼り替えます。1週目、2週目、3週目はパッチを1枚貼ってください。4週目は休薬期間となるため、パッチを貼る必要はありません。

1週間休薬したら2サイクル目に入り、再びパッチを貼ります。休薬期間が7日を超えると避妊効果が得られない可能性があるため、パッチを貼らない期間が7日間を超えないようにしてください。

目次

避妊パッチ(エブラパッチ)に期待できる効果

避妊パッチには、避妊効果だけでなく月経周期を整えたり婦人科疾患のリスクを軽減したりなどの効果も期待できます。貼るだけでホルモンを安定して供給できるため、より簡便に管理を行うことが可能です。ここでは、避妊パッチで得られる具体的な3つの効果を紹介します。

99%以上の避妊効果

避妊パッチは、非常に高い避妊効果を発揮します。適切に使用した場合の避妊率は99%以上とされ、低用量ピルとほぼ同等の効果が認められています。

さらに、皮膚から薬剤が持続的に吸収されることでホルモン濃度が維持され、飲み忘れによる効果の低下の影響を受けにくいことが特徴です。毎日の服用が難しい方でも、避妊パッチなら安定した避妊効果を得られます。

月経周期を整える効果

避妊パッチには、ホルモンの調整作用によって月経周期を安定させる効果があります。パッチを貼らない休薬期間に入ると出血が起こるようサイクルを管理できるため、生理不順の改善にも役立つ可能性があるのです。

また、月経の開始日が予測しやすくなるためスケジュール管理がしやすくなります。

子宮内膜がんや卵巣がんのリスクを軽減できる

避妊パッチを使用すると、エストロゲンの働きによる内膜腺細胞の増殖を抑制できます。そのため、子宮内膜がんや卵巣がんのリスクを軽減することが可能です。

卵巣がんのリスク因子の一つとして、排卵の回数が挙げられます。避妊パッチを使用すると排卵の頻度が抑えられ、生涯における排卵回数を減少できるため、卵巣がんの発症リスクを抑える効果が期待されています。

避妊パッチ(エブラパッチ)のメリット

避妊パッチは、貼るだけで高い避妊効果が得られる利便性の高いアイテムです。経口避妊薬と同様の有効成分を含みながら毎日の服用が不要である点や、月経のリズムを整える効果が期待できることから、新しい選択肢として注目されています。

避妊効果が高い

避妊パッチは、適切に使用した場合に99%以上の高い避妊効果が得られます。服用型の避妊薬と異なり、飲み忘れによる効果の低下を防ぎやすいことが特徴です。効果の高さに加えて、使用方法がシンプルであることも多くの方から注目されている理由の一つといえるでしょう。

低用量ピルのように毎日服用する必要がない

避妊パッチは、1週間ごとに新しいパッチに貼り替えるだけで避妊効果を維持できます。低用量ピルのように毎日決まった時間に服用する必要がなく、服用管理の負担を大幅に軽減することが可能です。

日々のスケジュールが不規則な方や、うっかり服用を忘れてしまいがちな方には適した選択肢といえるでしょう。

月経不順を改善できる

避妊パッチは、ホルモンバランスを一定に保つ働きがあるため、月経不順の改善にも効果が期待されています。休薬期間に生理がくるようになるため、周期が乱れやすい方や月経が予定通りこないことに不安を感じている方にとって、リズムを整える手助けとなるでしょう。

避妊パッチ(エブラパッチ)のデメリット

避妊パッチは高い避妊効果と利便性がある一方で、いくつかの注意すべき点やデメリットも存在します。

性感染症の予防はできない

避妊パッチは妊娠を防ぐためのホルモン製剤であり、性感染症の予防効果がないことに注意しましょう。

コンドームのように物理的に性感染症を防ぐ機能があるわけではないため、クラミジアや淋菌、HIVなどの感染を防ぐことはできません。感染リスクが懸念される場合は、コンドームなど他の避妊方法を併用する必要があります。

血栓症のリスクがある

避妊パッチには、エストロゲンという女性ホルモンが含まれており、このホルモンには血液を固まりやすくする作用があります。

長時間同じ姿勢で過ごすことが多い方、喫煙習慣がある方、肥満体型の方などは血栓症を発症するリスクが高まる可能性があるため、医師と相談して使用の可否を判断してください。

加えて、動脈血栓塞栓症のリスクの一つに35歳以上、または1日15本以上の喫煙の条件も挙げられます。

副作用が起こることがある

避妊パッチでは、以下のような副作用が報告されています。

  • 腟カンジダ症
  • 過敏症
  • 高コレステロール血症
  • 気分障害、不安障害
  • 不眠症
  • 頭痛
  • 動脈血栓塞栓症
  • 高血圧
  • 吐き気
  • 発疹
  • そう痒
  • 皮膚の炎症
  • 乳房圧痛
  • 倦怠感
  • 体重増加

これらの症状は一時的な場合もありますが、体調に変化を感じた際は医師に相談することが重要です。

医療費保障の対象外

避妊パッチは、国内では承認されていない薬剤となるため、入院が必要になるほど重篤な副反応が出た場合に、医療費が保障される「副作用被害救済制度」の対象外です。

避妊パッチ(エブラパッチ)を使用できない人

以下に該当する方は、避妊パッチの使用が禁止されています。

  • 静脈血栓塞栓症がある方、またはリスクが高い方
  • 動脈血栓塞栓症がある方、またはリスクが高い方
  • 高ホモシステイン血症および抗リン脂質抗体など動脈血栓塞栓症の素因がある方
  • 血管症状を伴う糖尿病や重度の高血圧などがある方
  • 避妊パッチの成分に過敏症の既往歴がある方
  • 乳がんがある方、または疑いがある方
  • 子宮内膜がんなどエストロゲン依存性腫瘍がある方、または疑いがある方
  • 肝機能異常がある方
  • 肝腺腫または肝癌がある方
  • 診断がついていない異常性器出血がある方

避妊パッチ(エブラパッチ)を使用するときの注意点

避妊パッチを安全かつ効果的に使用するためには、いくつかの注意点を理解しておく必要があります。

体重が90kg以上の人では避妊効果が低下する恐れがある

体重が90kg以上の方では、避妊効果が低下する可能性があります。3,319名を対象に行った第Ⅲ相試験で妊娠が確認された15例のうち、5例は体重が90kg以上の女性でした。

90kg未満の女性では、体重と妊娠との関連は認められていません。このことから、体重が90kg以上の方は他の避妊法を検討した方がよい場合もあります。

貼り替えるときに同じ場所に貼らない

避妊パッチを貼り替える際に毎回同じ部位に貼ると、皮膚が刺激を受けやすくなります。炎症やかぶれを防ぐためにも、上腕の外側、腹部、臀部、背中など貼付部位を変えるようにしてください。

パッチが剥がれたら貼り直す

パッチが剥がれて1日未満の場合は、できるだけ早めに新しいものに貼り替えましょう。

剥がれて1日以上経つ場合、または剥がれていた期間が不明な場合は避妊効果が十分に得られない可能性があるため、新しいサイクルを開始する必要があります。この場合、最初の1週間は他の避妊法を併用してください。

まとめ

避妊パッチは、皮膚に貼るだけで高い避妊効果を得られるホルモン製剤です。週1回の貼り替えで済むため、毎日の服用の手間がなく、忙しい方にも適しています。

ただし、性感染症の予防はできません。また、血栓症や皮膚刺激などのデメリットも存在します。この他、体重が90kg以上の方では避妊効果が落ちる可能性もあります。

避妊パッチは国内では未承認の医薬品です。一部のクリニックで取り扱いがありますので、気になる方は相談してみましょう。

正しく使えば利便性と効果のバランスに優れた避妊法といえるため、自身のライフスタイルや体質に合うかをしっかり検討することが大切です。

産婦人科専門医 原野尚美

監修者
産婦人科専門医原野 尚美

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