生理と片頭痛の関係は?原因と治療・予防法

監修者:産婦人科医 原野 尚美

最終更新日

生理と片頭痛の関係は?原因と治療・予防法

毎月生理が来るたびに、「またあのズキズキする頭痛がやってくるのでは……」と不安を感じていませんか?痛みで家事や仕事に手がつかず、横になって休まざるを得ないほどつらい思いをしている女性は決して少なくありません。

生理のタイミングと関連して起こる片頭痛は「月経関連片頭痛」と呼ばれており、一般的な頭痛よりも痛みが強く、長引きやすいという厄介な特徴を持っています。そのため、「いつもの生理痛だから仕方ない」と我慢してしまうと、毎月の生活の質が大きく下がってしまいます。

本記事では、生理と片頭痛の深い関係や痛みが起こるメカニズム、そしてつらい症状を和らげるための治療法や予防法を分かりやすく解説します。正しい対処法を知ることで、生理の時期でも毎日を快適に過ごせるようになりますので、ぜひ参考にしてみてください。

片頭痛とは

片頭痛が起こるメカニズム

片頭痛とは、こめかみから目のあたりにかけて、心臓の鼓動に合わせて「ズキズキ」「ドクドク」と脈打つような強い痛みが起こる頭痛のことです。痛みが数時間から長い場合は3日間ほど続くこともあり、日常生活に大きな支障をきたします。頭の片側だけが痛むことが多いですが、両側に痛みを感じるケースも珍しくありません。

また、痛みだけでなく吐き気や嘔吐を伴ったり、光や音、においに対して極端に敏感になったりするのも片頭痛の大きな特徴です。

片頭痛が起こるメカニズム

片頭痛が起こるメカニズムは複雑で、現在も研究が進められていますが、最も有力とされているのが「三叉神経血管説(さんさしんけいけっかんせつ)」です。何らかの刺激によって脳の最も大きな神経である三叉神経が刺激されると、痛みの原因となる物質(CGRPなど)が放出されます。

この物質の働きによって脳の血管が急激に拡張し、周囲に炎症が起こることで、ズキズキとした強い痛みが発生すると考えられています。また、血管の収縮や拡張をコントロールする「セロトニン」という神経伝達物質の増減も、片頭痛の発症に深く関わっています。

片頭痛の主な症状と前兆

片頭痛の症状は人によって異なりますが、体を動かしたり、お辞儀をしたりすると頭痛が悪化しやすいという特徴があります。そのため、痛みが起きている間は暗く静かな部屋でじっと休まれる方が多いのです。

さらに、片頭痛を持つ方の約2〜3割には、頭痛が起こる前に「前兆」があらわれます。代表的な前兆として、視界の端にギザギザ・キラキラした光があらわれて徐々に広がっていく「閃輝暗点(せんきあんてん)」という症状があります。この光が消えた直後に、激しい頭痛が襲ってくるのが典型的なパターンです。

女性に片頭痛が多い理由

女性に片頭痛が多い理由

「頭痛の診療ガイドライン2021」などの調査によると、片頭痛は男性よりも女性に圧倒的に多く見られる疾患であることがわかっています。特に20代から40代の、仕事やプライベートなどで忙しく過ごす世代の女性に多く、約5人に1人が片頭痛に悩まされているとも言われています。

これほどまでに女性に片頭痛が多い理由は、女性ホルモンである「エストロゲン」の分泌量が大きく変動するためです。初経を迎えてから閉経するまでの間、女性の体は毎月の生理周期に合わせてホルモンバランスが波のように変化します。このホルモンの波が脳や血管に影響を与え、片頭痛を引き起こしやすくしているのです。

片頭痛と緊張型頭痛の違いに注意

頭痛には、片頭痛のほかに「緊張型頭痛」というタイプもあります。緊張型頭痛は、長時間のデスクワークやスマホの操作による首・肩の筋肉のコリ、精神的なストレスなどが原因で起こります。頭全体がギュッと締め付けられるような重い痛みが特徴です。

ここで非常に重要なのが、片頭痛と緊張型頭痛では「正しい対処法が真逆になる」ということです。緊張型頭痛は筋肉の血流を良くするために「温める」のが正解ですが、片頭痛の場合は血管がすでに拡張して炎症を起こしているため、お風呂などで温めると血流がさらに良くなり、痛みが激化してしまいます。自分の頭痛がどちらのタイプなのかを見極めることが、正しいセルフケアの第一歩となります。

目次

生理前や生理中は片頭痛が起こりやすい

生理前や生理中は片頭痛が起こりやすい

「普段はあまり頭痛がないのに、生理の時期だけ決まって頭が痛くなる」という方は非常に多くいらっしゃいます。これは決して気のせいではなく、医学的にも証明されている現象です。

生理が始まる直前は、妊娠に備えて分泌されていた女性ホルモン(エストロゲン)の量が急激に減少します。このエストロゲンの急降下によって、脳内のセロトニンという物質のバランスが崩れ、血管が過剰に拡張してしまうことで、ズキズキとした痛みが引き起こされるのです。

「月経時片頭痛」と「月経関連片頭痛」

生理の周期に合わせて起こる片頭痛は、専門的には以下の2つに分類されます。どちらも通常の片頭痛に比べて痛みが強く、持続時間が長く、さらに市販の鎮痛薬が効きにくいという厄介な特徴があります。

  1. 純粋月経時片頭痛:生理の直前から生理中の期間(おおむね生理開始の2日前から生理3日目まで)にのみ限定して頭痛が起こるタイプ。
  2. 月経関連片頭痛:生理の時期に加えて、それ以外の時期にも片頭痛が起こるタイプ。

自分の痛みのパターンを把握するためには、「頭痛ダイアリー(頭痛日記)」をつけることが非常に有効です。カレンダーに頭痛が起きた日、痛みの強さ、薬を飲んだかどうかに加え、生理の開始日や終了日をメモしておきましょう。数カ月記録を続けることで、「生理の2日前から必ず頭痛が起きる」といった自分の傾向が目に見えてわかるようになり、医師の診察を受ける際にも大変役立ちます。

生理周期は片頭痛の大きな誘発因子

片頭痛には、発作を引き起こす「誘発因子」と、症状を悪化させる「増悪因子」が存在します。生理周期などの内因性因子のほかにも、私たちの生活の身近なところに頭痛の引き金となる要素が潜んでいます。代表的な因子は以下の通りです。

【内因性因子】生理周期、ホルモンバランスの変動

【精神的因子】強いストレス、ストレスから解放されてホッとした時、極度の疲労、睡眠不足や寝すぎ

【環境因子】天候の急激な変化(気圧の低下)、激しい温度差、強い光や眩しさ、大きな音、強いにおい(香水やタバコなど)

【食事性因子】極度の空腹、脱水症状、アルコール(特に赤ワイン)、特定の食品(チョコレートやチーズなど)

多くの片頭痛患者さんが、単一の原因だけでなく、これらの複数の因子が重なったときに激しい痛みを引き起こしていることがわかっています。生理が近づいている時期は、寝不足やストレスなどをできるだけ避けるように意識することが大切です。

月経時片頭痛の治療方法

月経時片頭痛の治療方法

生理に関連して起こる片頭痛は痛みが重症化しやすいため、我慢せずに適切な薬を使って治療することが重要です。医療機関(頭痛外来など)では、症状の重さや発症のタイミングに合わせて、主に以下の薬が処方されます。

NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)を早めに服用する

NSAIDsは、痛みの原因となる「プロスタグランジン」という物質の生成を抑え、頭痛や生理痛を緩和する薬です。ロキソプロフェンやイブプロフェンなどが代表的で、市販薬としても広く販売されています。最大のポイントは、「痛みが本格的に強くなる前に、できるだけ早く飲むこと」です。

トリプタン系薬を服用する

トリプタン系薬は、片頭痛の痛みに対して処方される代表的な専門薬です。過剰に拡張してしまった脳の血管を元の太さに収縮させ、三叉神経からの炎症物質の放出を抑える働きが期待できます。NSAIDsでは痛みが治まらないような中等度から重度の片頭痛に対して非常に有効です。

漢方薬で体質改善を目指す

西洋薬の副作用が気になる方や、痛みのほかに冷えやめまい、むくみなどの不調を抱えている方には、漢方薬も有効な選択肢となります。全身の血や水分の巡りを整えることで、頭痛の起きにくい体質への改善を目指します。

自分でできる片頭痛のセルフケアと対策

お薬による治療だけでなく、日常生活のちょっとした工夫で痛みを和らげたり、発作の頻度を減らしたりすることができます。

痛む部分をしっかり冷やす

ズキズキとした片頭痛が起きたときは、痛む場所(こめかみや首の後ろなど)を保冷剤や氷水で濡らしたタオルでしっかりと冷やしましょう。冷やすことで拡張していた血管がキュッと収縮し、炎症が抑えられて痛みが和らぎます。お風呂にゆっくり浸かって体を温めたり、強くマッサージしたりするのは逆効果になるため避けてください。

暗く静かな場所で安静に過ごす

片頭痛の発作中は、脳が非常に敏感な状態になっています。普段は気にならない程度の光や音も刺激となるため、部屋の照明を落とし、カーテンを閉めて薄暗く静かな環境を作りましょう。可能であれば横になって目を閉じ、安静に過ごすのが一番の対処法です。

食生活を見直しマグネシウムなどを取り入れる

血管の収縮・拡張を安定させる働きを持つ「マグネシウム」や、神経の働きを助ける「ビタミンB2」を積極的に摂るのがおすすめです。マグネシウムはわかめやひじきなどの海藻類、アーモンド、ほうれん草などに多く含まれています。

一方で、チョコレートやチーズ、赤ワインなどに含まれる「チラミン」という物質は、血管を拡張させて片頭痛の引き金になることがあるため、頭痛が起きやすい時期は食べ過ぎに注意が必要です。

月経時片頭痛を予防する方法

頭痛ダイアリーをつけて生理と頭痛の関連性がはっきりしている場合は、痛みが出る前に先回りを防ぐ「予防療法」を取り入れることが期待できます。

生理の数日前から予防薬を服用する

タイミングが予測できる方は、痛みが起こる前から鎮痛薬や効果の長いトリプタン系薬をあらかじめ服用しておく「短期予防療法」が有効な場合があります。必ず医師の指導のもとで服用スケジュールを相談してください。

低用量ピルを服用する

生理痛(月経困難症)が重い場合には、婦人科で低用量ピルが処方されることがあります。低用量ピルを飲むと排卵が抑えられ、体内が一定のホルモンバランスに保たれます。その結果、生理前のエストロゲンの急激な減少が起こりにくくなるため、ホルモン変動による不調が和らぐことがあります。

ただし、ここで一つ大きな注意点があります。

視界にキラキラした光が見えるなどの「前兆のある片頭痛」をお持ちの方は、血栓症(血管の中に血の塊ができる病気)のリスクが高くなるため、ガイドライン上、低用量ピルを服用することができません。

ご自身の安全を守るためにも、ピルを処方してもらう際は、医師に「頭痛の症状(光が見える前兆の有無など)」を正確に伝えていただくことが非常に大切です。

つらい頭痛や生理痛は我慢せず病院へ!

市販の鎮痛薬が手放せず、月に10日以上も薬を飲み続けていると、薬が原因でさらに頭痛がひどくなる「薬物乱用頭痛」に陥ってしまう危険性があります。

市販薬が効かないほど激しい片頭痛の場合は、我慢せずに「頭痛外来」や「脳神経内科」などの専門医を受診しましょう。

一方で、「生理不順」や「毎月の強い生理痛(月経困難症)」にお悩みの場合は、「婦人科」や「産婦人科」でピルを含めたホルモン治療の相談をするのも良い選択です。

生理の不調・ピルのご相談ならマイピルへ

「毎月の生理痛が重くてつらい」「生理前の不調を和らげるためにピルを検討したいけれど、病院に行く時間がない」とお悩みでしたら、ぜひマイピルオンラインへお気軽にご相談ください。

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※激しい片頭痛の専門治療(トリプタン等の処方)は頭痛外来をおすすめしておりますが、前兆のない頭痛を伴う「月経困難症」など、ピルを用いたホルモンバランスの安定をご希望の方には、丁寧に問診・サポートいたします。

ご自身の症状や体質をしっかりお伺いした上で、一人ひとりに合ったお薬を提案し、スピーディーにご自宅のポストへお届けします。生理とうまく付き合いながら、笑顔で毎日を過ごせるよう全力でサポートいたします。

生理と片頭痛に関するよくある質問

ここでは、生理と片頭痛の関係について、患者様からよく寄せられる疑問や不安にお答えします。

生理中にズキズキとした頭痛が起こるのはなぜですか?

女性ホルモンである「エストロゲン」の分泌量が急激に低下することが最大の原因と考えられています。このホルモン変動によって脳の血管が拡張し、周囲の神経を刺激することで痛みが生まれます。鎮痛薬の適切な使用や、月経困難症の治療を通じたホルモンバランスの安定により、症状の緩和が期待できます。

40代になってから生理中の頭痛がひどくなりました。原因は何ですか?

40代半ばから後半にかけては、閉経に向けて体が準備を始める「更年期」に差し掛かる時期です。この時期は卵巣の機能が徐々に低下し、エストロゲンの分泌量が激しく変動しやすくなります。この不安定なホルモンバランスの影響で、若い頃よりも片頭痛の発作が起きやすくなったり、痛みが強くなったりすることがあります。更年期障害の治療と合わせて医師に相談してみましょう。

生理中にこめかみが痛くなるのはなぜですか?

「セロトニン」という神経伝達物質が関係しています。生理前にエストロゲンが減少すると、それに連動してセロトニンの量も減少します。セロトニンには血管を適度に引き締める働きがあるため、これが不足することで脳の太い血管が拡張し、こめかみ付近の三叉神経が刺激されて痛みを感じるようになります。

まとめ

毎月のように女性を悩ませる生理前や生理中の片頭痛は、あなたの我慢が足りないから起きているわけではありません。女性ホルモンの急激な変動が影響して引き起こされる、立派な疾患の一つです。

痛みが強くなる前に早めにお薬を服用したり、頭痛外来で専門薬を処方してもらったりするほか、前兆のない片頭痛の場合は、月経困難症の治療として低用量ピルを活用し、ホルモンバランスを一定に保つことで症状が和らぐことも期待できます。

マイピルオンラインでは、生理にまつわる痛みや不調に対するご相談を受け付け、お一人おひとりに合わせたピル処方を行っています。「毎月のつらい生理症状から解放されたい」とお考えの方は、ぜひ一度、お気軽にマイピルの医師にご相談ください。

参考文献

  1. 頭痛の診療ガイドライン2021 
  2. 国際頭痛分類 第3版(ICHD-3) 
  3. 月経困難症|女性の健康推進室 ヘルスケアラボ(厚生労働省研究班) 
  4. 低用量経口避妊薬、低用量エストロゲン・プロゲストーゲン配合剤ガイドライン(案)
  5. 頭痛の診療ガイドライン 2021(日本東洋医学会) 
産婦人科専門医 原野尚美

監修者
産婦人科専門医原野 尚美

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