生理がなかなか終わらない!?出血が長引く過長月経とは
生理痛・PMS/PMDD症状を和らげるセルフケアを徹底解説!
監修者:産婦人科医 原野尚美
最終更新日
「生理前のイライラや体調不良」「生理痛のつらさ」など、生理にまつわる症状でお悩みの女性は多いです。解決策の1つとして低用量ピルがあり、日本でも服用している方が増えてきました。
今回は、「薬の前に自分でできることをしたい」「低用量ピルに加えて何かできることはないかな」と考えている方のために、セルフケアの方法をいくつかご紹介します。効果が期待でき、かつ手軽に取り入れられるものを厳選しましたので、ぜひ参考にしてください。
目次
- 1.サプリメントや食べ物で生理対策
- 2.漢方薬で生理対策
- 3.生活習慣を変えて生理対策
- 4.PMS/PMDDによくないものは?
- 5.まとめ
サプリメントや食べ物で生理対策
毎日のことである「食事・栄養」を少し意識するだけでも、生理対策になります。効果が期待できる栄養素を4つご紹介します。
カルシウム
カルシウムは、PMS症状を和らげてくれる可能性があります。
排卵時には血液中のカルシウム量が下がるのですが、PMS症状の強い方は元々のカルシウム量が少ないことに加え、カルシウムの低下する幅が大きい傾向にあると報告されています。
1日250mg程度のカルシウムを追加するとよいのではないか、と考えられています。サプリメントを活用するか、カルシウムの多い食べ物を意識的にとるようにしてみてはいかがでしょうか?
量 | カルシウム含有量 | |
---|---|---|
牛乳 | 200ml | 240mg |
豆腐 | 1/3丁(100g) | 100mg |
納豆 | 1パック(40g) | 35mg |
サバの水煮 | 1/2缶(90g) | 230mg |
ビタミンB6
ビタミンB6は、炎症を抑えたり、セロトニンという物質を作るための材料になったりする成分です。セロトニンは「幸福ホルモン」とも言われている物質で、気持ちの安定に関わっています。
生理が近づくにつれ、女性ホルモンのエストロゲン分泌量が減ると、一緒にセロトニンの量も減ってしまいます。その影響で気持ちの波が大きくなることが、PMS/PMDD症状の出る1つの原因なのです。ビタミンB6をとることで、PMS/PMDD症状を和らげられる可能性があります。
ビタミンB6は、サプリメントなどを使って多めに摂取しても、体への害はほとんどありません。比較的安価で取り入れやすい成分なので、ビタミンB6の含まれた「ビタミンB群」「マルチビタミン」などのサプリメントをとってみてはいかがでしょうか?
チェストツリー(チェストベリー)
チェストベリーは、PMS症状、生理周期に関連する乳房の張りや痛みを和らげる可能性があるサプリメントです。1日40mg程度の摂取がよいとされています。サプリメントのタイプと、お湯で煮出してお茶として飲むタイプが売られています。
ただし、低用量ピルを服用している場合には、ピルの効果へ影響する可能性があるため、チェストベリーを使用しないでください。
カカオの多いチョコレート、ココア
カカオやチョコレートに含まれるポリフェノールは、血管を拡げる作用があるため、生理痛を和らげてくれるかもしれません。
ただし、糖分や脂肪分はとりすぎると逆効果になることがあります。チョコレートやココアを取り入れる場合は、高カカオのものを選んだり、量をとりすぎないようにしたりと気をつけてみましょう。
漢方薬で生理対策
PMS/PMDDや生理痛に対して、漢方薬がよい場合もあります。漢方薬は、他の薬との飲み合わせにも注意する必要があるため、婦人科で相談して試すのがよいでしょう。ここでご紹介する以外にも、生理にまつわる症状に効果の期待できる漢方薬はたくさんあります。
当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
比較的虚弱な体質で、生理に伴ってめまいやむくみ、肩こりなど体の症状が多く出る方に合いやすいのが当帰芍薬散です。弱い利尿作用と、血液の循環をよくして冷えを改善する作用があり、さまざまな症状を緩和してくれます。
芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)
生理痛がひどい方は、生理の始まる少し前から芍薬甘草湯を使用するという方法が合うかもしれません。子宮が過剰に収縮するのを抑えてくれる作用があります。
ただし、利尿薬やほかの漢方薬と組み合わせることで、血液中のカリウムという成分が減り過ぎてしまうことがあるため、服用薬がある場合には医師や薬剤師へ必ず伝えましょう。
抑肝散(よくかんさん)
精神的な波が大きくて辛い方、顔の筋肉がピクピクと痙攣するような緊張感の強い方に合いやすいのが抑肝散です。
生活習慣を変えて生理対策
生活習慣を変えることで、生理にまつわる症状が軽減される場合もあります。
しっかり睡眠をとる
勉強や仕事などで忙しく、睡眠が取れていない方、生活が不規則になっている方は多いのではないでしょうか?
生理前〜生理中は、ホルモンの影響で少し体温が上がることや、セロトニンの分泌が低下することによって、どうしても普段よりも眠りにくくなったり、睡眠の質が下がったりしやすいです。生理中は、どれだけ寝ても眠くてつらいという方も多いでしょう。
生理前だけでなく、普段から睡眠を大切にすることで、睡眠のリズムを作りやすくなります。日中にある程度歩いたり運動したりする、起きる時間・寝る時間を一定にする、長く昼寝をしないなど、意識してみてください。
日光を浴びる
朝起きてから日光を浴びると、セロトニン神経という神経が活発になり、脳内でセロトニンが分泌されるようになります。すると、生理前後の気持ちの波が安定しやすくなるとともに、睡眠のリズムが整う効果もあり、先ほど紹介した「しっかり睡眠をとる」ことにもよい影響を与えることができます。
朝に15〜30分程度、太陽の光を浴びる習慣をつけてはいかがでしょうか?
有酸素運動をする
有酸素運動を定期的にすることで、PMS症状の改善に繋がるかもしれません。
65名の学生を対象に1回20分の有酸素運動を週に3回、8週間続けてもらったところ、頭痛や吐き気、便秘や下痢などの症状が減少したという報告があります。
生理中でつらいときは無理をする必要はありませんが、ウォーキングやジョギング、スイミングなど、好きな運動をして日常的に体を動かしてみましょう。
アロマを取り入れる
アロマセラピーでも、PMS症状を軽減できるといわれています。
おすすめはラベンダーのアロマです。ラベンダーの香りを10分間かぐだけで、気持ちの落ち込みが軽減したという報告があります。
ラベンダー以外にも、ご自身の好きな香りでリラックスタイムを楽しみながら、生理対策をしてみませんか?
PMS/PMDDによくないものは?
PMS/PMDD症状によい可能性があるものをご紹介してきました。逆に、PMS/PMDD症状を悪化させる傾向にあるものもご紹介します。
- カフェイン
- アルコール
- タバコ
- 脂質の多い食事(甘いもの、揚げ物など)
- 塩分の多い食事
全てを制限しようと頑張りすぎると、ストレスになってしまうかもしれません。できそうなものだけを制限してみたり、制限してみて効果を実感できたものだけ制限を続けてみたりと、工夫してみましょう。
まとめ
今回は、生理痛やPMS/PMDD症状を緩和させる方法として、低用量ピル以外の選択肢をご紹介しました。食べ物や生活習慣を少し意識すると、つらい症状がやわらぐ可能性があります。
すべてを取り入れる必要はありませんが、興味があるもの、取り入れても自分がストレスにならないものなどがあれば、ぜひ試してみてください。
監修者
産婦人科専門医原野 尚美
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