私の生理痛は大丈夫?生理痛の重さレベルをチェックしよう
アフターピル(緊急避妊薬)は、予期せぬ性行為の後に妊娠を防ぐための重要な手段ですが、100%の確率で妊娠を阻止できるわけではありません。残念ながら、正しく服用しても避妊に失敗してしまうケースもあります。
失敗の可能性をゼロにすることはできませんが、成功率を最大限に高めるために、失敗しやすい要因を理解しておくことが大切です。
ここでは、アフターピルの避妊効果が低下してしまう主な要因についてご紹介します。
アフターピル失敗の要因とは?

アフターピルで妊娠の阻止に失敗してしまう要因として、3つのパターンをご紹介します。これらに当てはまらず、正しく服用した場合でも、失敗してしまうことはありますが、成功の確率を上げるため、失敗要因は極力減らしましょう。
服用後に吐いてしまった
アフターピルを服用して2時間以内に吐いてしまった場合、薬が十分に体内に吸収されておらず、効果が発揮できないために、妊娠阻止に失敗してしまう可能性があります。
ですから、服用して2時間以内に吐いてしまった場合には、アフターピルをもう一度服用し直さなければなりません。処方元の医療機関へ連絡し、もう1回分を処方してもらいましょう。
再度吐いてしまうリスクもあるため、吐き気止めも処方してもらえると安心です。
もし、再度服用したときにも吐いてしまったという場合には、ほかの方法を検討した方がよいかもしれません。お近くの婦人科へ、対面受診することをおすすめします。
効果を弱めるような薬・サプリメントを服用していた
アフターピルは、薬やサプリメントとの飲み合わせによって、効果が弱まってしまう場合があります。たとえば、以下のような薬が代表的です。
<アフターピルの効果を弱める薬やサプリメントの例>
- フェノバルビタール
- フェニトイン
- カルバマゼピン
- リファンピシン
- トピラマート
- ミノサイクリン
- セイヨウオトギリソウ(セントジョーンズワート)
このほかにも、アフターピルの効果に影響を与える薬がありますので、普段服用している薬がある方は、お薬手帳などを持って受診してください。
服用タイミングが遅かった
アフターピルは、性行為をしてから72時間(エラワンは120時間)以内に服用するという決まりになっていますが、その時間内であっても、早ければ早い方が妊娠阻止の効果が高いです。

この図にお示しするように、たとえば「レボノルゲストレル」は、24時間以内であれば95%もの確率で妊娠が阻止できますが、72時間ギリギリになると58%にまで効果が低下してしまいます。
婦人科が近くにない、どうするか悩んでいたら時間が経ってしまったなど、服薬が遅れるのにはさまざまな理由があると思いますが、いざという時のため、お住まいの地域で対応できる産婦人科や調剤薬局の場所をあらかじめ調べておくとよいかもしれません。
低用量ピルとの違い
アフターピルの妊娠阻止の効果は、低用量ピルを毎日服用した場合の避妊効果と比較すると低いです。同じように「ピル」と名前についていますが、なぜ低用量ピルの方が避妊の効果が高いのでしょうか?
それは、作用のメカニズムが異なるためです。
アフターピルは、排卵の前であれば「①排卵自体を抑える」、すでに排卵の準備がされた状態であれば「②排卵を遅らせる」、排卵が起きた後であれば「③受精卵の着床を妨げる」という3パターンの作用で、妊娠を阻止します。

アフターピルが排卵を遅らせる効果は約5〜7日間で、精子の寿命は約5日であるため、性行為をおこなったのが排卵前であれば、排卵されるまでの間に精子は死んでしまうため、理論上は妊娠を防ぐことはできます。しかし人の体は機械ではないため、「必ず排卵を5日間遅らせることができる」という保証はありません。
また、受精卵の着床を妨げる作用についても同様に、必ずということは保証できないのです。
一方で、低用量ピルの場合は、毎日規則正しく服用していれば、排卵自体を起こさないようにする作用があります。服用中は排卵が起きないので、精子が卵子と出会うこともなく、妊娠は起こらないという仕組みです。
アフターピルを服用したいと思うタイミングが頻繁に起きてしまうようであれば、低用量ピルなどを使って確実な避妊を検討しましょう。
| アフターピル(緊急避妊薬) | 低用量ピル(経口避妊薬) | |
| 目的 | 緊急時の妊娠阻止(失敗時など) | 日常的な確実な避妊、生理トラブル改善 |
| 飲み方 | 性行為後72時間(または120時間)以内に1回服用 | 毎日決まった時間に1錠服用 |
| 避妊成功率 | 約80〜95%(服用時間による) | 99.7%(正しく服用した場合) |
| 副作用 | 一時的な吐き気・頭痛などが起きやすい | 飲み始めに起きることはあるが、徐々に落ち着く |
よくある質問
Q. 手持ちの低用量ピルをアフターピルの代わりに飲んでもいい?
基本的には推奨されません。 昔は中用量ピルなどを組み合わせて緊急避妊を行う「ヤッペ法」という方法がありましたが、現在のアフターピルに比べて避妊効果が低く、吐き気などの副作用が強く出る傾向があります。妊娠を防ぐ大切なタイミングですので、自己判断で代用せず、必ず専用のアフターピルを処方してもらいましょう。
Q. 避妊に成功したかどうか、どうやって確認すればいいですか?
服用後、数日〜3週間以内に起こる「消退出血(しょうたいしゅっけつ)」と呼ばれる生理のような出血が、避妊成功のひとつのサインです。 ただし、出血が少量で着床出血(妊娠のサイン)との区別がつかない場合や、予定日を過ぎても生理が来ない場合は、服用から3週間後に市販の妊娠検査薬で確認するか、婦人科を受診してください。
Q. アフターピルを飲んだ後なら、避妊しなくても大丈夫ですか?
いいえ、大丈夫ではありません。 アフターピルは、服用する「前」に行われた性行為に対してのみ効果を発揮します。服用した「後」の性行為に対する避妊効果はありません。 次の生理が来て避妊成功が確認できるまでは性行為を控えるか、コンドームなどで確実に避妊を行いましょう。継続的な避妊を希望する場合は、低用量ピルの開始を検討してください。
Q. BMI(肥満指数)が高いと効果が出ないですか?
太っていても「効果がない」わけではなく、使用をためらうべきではありません。緊急避妊薬のレボノルゲストレル1.5 mgを使用し、体重と肥満指数との関係を調査した研究結果を参照すると、薬を飲んだ後の妊娠率は全体で1.2%と非常に低い結果でした。体重80kg以上の人や、BMI30以上の肥満の人でも、妊娠率は2.0%以下に留まっており、基本的には効果が期待できます。
体重が気になる方は、医師に相談の上、より効果への影響が少ないとされる種類(エラワンなど)の処方を検討するか、規定量より多めに服用するなどの指示を仰ぐことが推奨されます。
まとめ
アフターピルは、100%妊娠を阻止できる薬ではありません。
効果を高めるため、吐き出さないことと飲み合わせに注意し、無防備な性行為をしてからできるだけ早い段階で服用するようにしましょう。
参考文献
1. 緊急避妊法の適正使⽤に関する指針 (令和 7 年改訂版)
https://www.jsog.or.jp/news/pdf/kinkyuhinin_shishin202504.pdf
2.Emergency contraception
https://www.who.int/news-room/fact-sheets/detail/emergency-contraception
3.Levonorgestrel
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK539737
4.Ulipristal acetate versus levonorgestrel for emergency contraception: a randomised non-inferiority trial and meta-analysis
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/20116841
5.Emergency Contraception
https://www.cdc.gov/contraception/hcp/usspr/emergency-contraception.html
6.Effect of BMI and body weight on pregnancy rates with LNG as emergency contraception: analysis of four WHO HRP studies







