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経口避妊薬のスリンダとは?効果や低用量ピルとの違いを解説
監修者:産婦人科医 原野尚美
最終更新日

「スリンダってどのようなピルなの?」「新しいピルが出たと聞いたけど、スリンダにはどのような効果や副作用があるの?」このようなお悩みはありませんか?
スリンダは、日本で初めて承認されたミニピル(黄体ホルモン単独の経口避妊薬)で、従来の低用量ピルと異なり、血栓症リスクが低いことが大きな特徴です。
本記事では、スリンダの避妊効果や副作用、低用量ピルとの違い、服用上の注意などを分かりやすく解説します。
目次
- 1.スリンダとは
- 2.スリンダを服用するときの注意点
- 3.スリンダの避妊効果
- 4.スリンダの服用が禁忌な方
- 5.スリンダの主な副作用
- 6.低用量ピルとスリンダの違い
- 7.スリンダに関するよくある質問
- 8.まとめ
スリンダとは
スリンダは、あすか製薬株式会社が製造販売するミニピルです。2025年5月19日に製造販売の承認を受け、同年6月30日に発売となりました。
従来の低用量ピルとは異なり、黄体ホルモンのみを含んでいるため、血栓症の副作用リスクが大きく低減しています。主成分はドロスピレノンで、排卵を抑制したり子宮内膜が厚く育つのを阻止したりして避妊効果を発揮します。
日本初のミニピル
スリンダは、日本で初めて厚生労働省に承認されたミニピルです。ミニピルとは、エストロゲンを含まず、黄体ホルモンのみで構成されている経口避妊薬のことを指します。
欧米ではすでに広く使用されていますが、日本ではこれまでに承認された製品がなく、セラゼッタやノルゲストンなど海外のミニピルを輸入して使用していました。
従来の低用量ピルと比べて血栓症などの重大な副作用リスクが低く、40歳以上の方やエストロゲンを避ける必要がある方にとっても有用な選択肢となります。
スリンダが開発された経緯
日本では、経口避妊薬として低用量ピルが用いられることが一般的でした。
しかし、WHO(世界保健機関)のガイドラインでは、エストロゲンとプロゲスチンを両方配合した経口避妊薬(COC)は静脈血栓塞栓症のリスクが少ないプロゲスチン単剤の経口避妊薬(POP)の方が推奨度が高い避妊薬とされています。にもかかわらず、日本で承認されているPOPはありませんでした。
そこで、妊娠を望まない女性の新たな選択肢として、プロゲスチンであるドロスピレノンを主成分とするPOP=ミニピルが開発されました。
スリンダの効能効果
スリンダは、以下のような働きによって避妊効果を発揮します。
- 排卵を抑制する
- 子宮内膜を着床しづらい状態にする
- 子宮頸管粘液を変化させて精子の通過を妨げる
なお、スリンダは避妊を目的とする薬であり、性感染症を防ぐ効果はありません。性行為のリスク対策としては、コンドームとの併用が望まれます。
スリンダの用法用量
スリンダは、1日1回、1回1錠を決まった時間に服用してください。28日を1周期とし、29日目からは次の周期の錠剤(2シート目)を服用します。
スリンダのシートには合計28錠の錠剤があり、24錠は有効成分が含まれた実薬、残り4錠は何も含まれていないプラセボです。プラセボを服用する休薬期間に入ると、人によっては生理(消退出血)が起こることがあります。
スリンダを服用するときの注意点
スリンダを服用するにあたり、次のような注意点があります。
- 2日以上続けて飲み忘れると妊娠する可能性が高くなる
- 毎日一定の時間に服用する
- 性感染症を予防する効果はない
それぞれ詳しく解説します。
2日以上続けて飲み忘れると妊娠する可能性が高くなる
2日以上連続して飲み忘れた場合は、飲み忘れに気がついた時点で服用し、その日の分の錠剤も通常どおり服用してください。ただし、妊娠する可能性が高くなるため他の避妊法も併用しましょう。
翌日までに飲み忘れに気がついた場合は、すぐに飲み忘れた分の錠剤を服用し、その日の分の錠剤も通常どおり服用します。
なお、プラセボは有効成分が含まれていないため、飲み忘れても特に問題はありません。休薬期間が4日を超えないようにだけ注意しましょう。3日以上連続して服用を忘れた場合は、服用を中止し、次の生理の1日目から新しいシートの服用を開始してください。
毎日一定の時間に服用する
スリンダの避妊効果を十分に発揮させるためには、毎日できるだけ一定の時間に服用する必要があります。これは、血中濃度をできるだけ一定に保つことが重要だからです。服用時間が少しでもずれると避妊効果が落ちる可能性があるので注意しましょう。
性感染症を予防する効果はない
この他、スリンダはあくまでも避妊のために使用する薬であり、HIV感染や梅毒、性器ヘルペスなどの性感染症を予防する効果はありません。性感染症は体液や粘膜の接触によって感染するため、スリンダを服用しても予防できないのです。
そのため、性感染症の予防を目的とする場合は、コンドームの併用が望ましいとされています。コンドームは避妊と同時に性感染症の予防ができる唯一の手段です。
スリンダの避妊効果
スリンダの避妊効果は非常に高く、飲み忘れ等を含めた1年間の避妊率は93%と報告されています。また、スリンダを13周期にわたって投与した276例のうち、妊娠したのは1例だったとのデータもあります。このことから、スリンダには高い避妊効果があることが分かります。
スリンダの服用が禁忌な方
スリンダは、エストロゲンが配合されておらず使いやすい避妊薬ですが、すべての方が服用できるわけではありません。以下に該当する方は、スリンダの服用が禁止されています。
- スリンダの成分に対して過敏症の既往歴がある方
- 乳がんまたは生殖器がんおよびその疑いがある方
- 診断が確定していない異常性器出血がある方
- 重篤な腎障害または急性腎障害がある方
- 重篤な肝障害がある方
- 妊娠または妊娠している可能性がある方
スリンダの主な副作用
スリンダでは、次のような副作用が報告されています。
5%以上 | 1~5%未満 | 1%未満 | 頻度不明 | |
---|---|---|---|---|
主な副作用 | 不正性器出血、下腹部痛、月経異常、乳房不快感、頭痛、腹痛、悪心、下痢、ざ瘡など | 無月経、子宮筋腫、カンジダ症、乳頭痛、傾眠、いらいら感、不安感、発疹、倦怠感など | 陰部そう痒症、子宮ポリープ、卵巣腫大、抑うつ、便秘、消化不良、口内炎、関節痛など | リビドー減退、高カリウム血症、ほてり |
副作用が気になるときは、処方された医師に相談して対処法を仰いでください。場合によっては、他の薬や避妊法に変更した方が良いケースもあります。
低用量ピルとスリンダの違い
一般的な低用量ピルはエストロゲンと黄体ホルモンの2種類を含むのに対し、スリンダは黄体ホルモンのみが配合されているミニピルに分類されます。低用量ピルとミニピルは、どちらも避妊効果を持つ薬ですが、いくつか違いがあるので確認しておきましょう。
黄体ホルモンのみ含まれているので血栓症のリスクが少ない
スリンダは、黄体ホルモンのみを有効成分としたミニピルです。これに対して低用量ピルは、エストロゲンと黄体ホルモンの2種類のホルモンが含まれています。エストロゲンには血液を固まりやすくする性質があるため、血栓症のリスクを高める要因となることが分かっています。
一方、スリンダにはエストロゲンが含まれていないため、血栓症の発症リスクを低減できるのが大きなメリットです。喫煙習慣がある方、低用量ピルの使用に制限がある方でもスリンダであれば服用できる可能性があります。
閉経まで服用できる
低用量ピルは、40歳以上の女性では血栓症のリスクが高まるため、服用が制限される場合があります。しかし、スリンダは黄体ホルモン単独製剤であり、エストロゲンを含まないことから、基本的に閉経まで服用することが可能です。
不正出血のリスクが高い
スリンダは血栓症のリスクが低いというメリットがある一方で、不正出血が起こりやすいというデメリットがあります。特に、服用を開始してから数カ月は、不正出血が起こりやすいため不便さを感じることがあるかもしれません。ただし、服用を続けると不正出血は次第に起こりにくくなります。
スリンダに関するよくある質問
最後に、スリンダに関するよくある質問にお答えします。
スリンダは保険適用になりますか?
スリンダは現在のところ、保険適用外です。避妊を目的とした経口ピルは基本的に自由診療に分類されるため、スリンダを処方してもらう場合は自己負担での購入となります。
喫煙していてもスリンダを服用できますか?
スリンダは、喫煙している方でも服用できます。従来の低用量ピルにはエストロゲンが含まれており、35歳以上で1日15本以上喫煙している方は服用できませんでした。
しかし、スリンダはエストロゲンを含まないため血栓症のリスクが低く、喫煙者でも医師の判断により服用できることがあります。
セラゼッタとの違いは何ですか?
スリンダとセラゼッタは、どちらも有効成分としてドロスピレノンが含まれているミニピルです。ただし、国内における正式な承認状況が異なります。
スリンダは2025年に厚生労働省により承認を受けていますが、セラゼッタは海外製のピルであり日本国内では未承認です。
まとめ
スリンダは2025年に日本で初めて承認販売されたミニピルであり、エストロゲンを含まない黄体ホルモン単独の避妊薬です。従来の低用量ピルに比べて血栓症のリスクが低く、医師の判断により喫煙者や40代以上の女性でも服用できます。
避妊効果は高いものの、毎日同じ時間に服用する必要があり、飲み忘れには十分な注意が必要です。
また、不正出血のリスクや性感染症を防ぐ効果がない点にも留意しなければなりません。現在のところ保険適用はなく、自費での処方となりますが、安全性や利便性を重視する方にとって新しい避妊の選択肢となります。

監修者
産婦人科専門医原野 尚美
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